第15章 結果オーライじゃん
一週間後の、火曜日の。
午後17:00時過ぎ。
仕事帰りにマミは。
返却する本を抱え。ストーリーを考え、まとめた。紙芝居を持参して。 拓眞の働く図書館を訪れていた。
(あれ? 考えなしに来ちゃったけど)
「で、出塚さん、 火曜日休みって言ってませんでしたっけ? 私、今日を指定しちゃったけど……」
「ん? 大丈夫だよ。一応、俺が責任者だからね。シフト変更や、他の子に休み代わってもらうのとか……ね?」
「今日のために、迷惑かけちゃった職員さんがいらっしゃるんですか?」
(私のために?)
マミが、青ざめていると。
「 ごめんなさい。違います。先週はたまたま、火曜日に休んだんだよ。バイトの男の子がさ『用事があるから、シフトを変えて下さい』って言うからさ 。俺も、本当は水曜日が休みなの。だから大丈夫。本当にごめんね。マメちゃん」
マミの真面目な性格を考えたら。自分のために、誰かが……なんて。
(ちょっと、悪ふざけが過ぎちゃった。気をつけなきゃ)
拓眞の言葉に、安心するとマミは。
「伝わるでしょうか ?」
話の内容、分かりますか? と。
心配そうに拓眞に尋ねるマミに。
「凄い、よく伝わったよ」
そう、拓眞が答えると。
「よかった……」
胸に手を当てて。「良かった」と ちっちゃく呟いたマミ。
それにしても……
「で、出塚さん、凄いこだわりですね」
(噛まなくてよかった……)
拓眞の名前を、噛まなくて良かった。と、 ホッとしていると。
「子供達にね。分かりやすく伝えるためにね。こういうのを作っている友達にね。借りたの。マメちゃんこそ絵上手いね」
「私…… 絵心ないんです……友達に。手伝ってもらって描いてもらったんです」
「なるほど……お互いに。友達。様々なわけね。……マメちゃん、話変わるけど。出塚が言いにくかったらさ。下の名前で呼んでくれたらいいから」
「し、下の名前?」