第10章 2人きりのバースデーパーティー
商店街に来てみたものの、私は困り果てていた。
カカシが欲しいものって、なに……?
遊女の時は、贈られることはあっても、男性に贈ることなんてなかった。しかもカカシは忍だ。忍に普段何が必要かなんて検討がつかなかった。
服は決まった物がありそうだし、ゆっくり眠れるように、新しい枕とか?
いまいちピンとこないままぶらぶら歩いていると、武器屋さんの前に来た。嫌な汗が背中を流れる。
見ないようにすれば大丈夫……。
目を背けてその前を通り過ぎる。
その後もしばらく商店街を歩いてみたが、結局目ぼしいものを何も見つけられずに商店街の端まで歩いてきてしまった。
忍の友達がいれば、何が嬉しいか分かるのにな……
明日の朝ごはんのパンでも買って帰ろうと商店街を折り返す。
すると、さっき通り過ぎた武器屋さんの店員だろうか、チャイナ服を着たお団子頭の女の子が店の前に出てきていた。
あの子も忍なのかな……
わたしは思わず駆け寄っていた。
「あ、あの!すいません!!」
「はい?」
急に声をかけられ女の子が弾かれたように顔を上げる。
「忍に必要なものって、なんですか!?」
我ながら間抜けな質問だったと思う。でもそのときは必死だった。
「え?、と、その人によると思いますけど……、あ、でもクナイとか手裏剣はみんな大体……」
「じゃあそれください!!」
「あ、じゃあ店内にどうぞ、種類が色々あるので」
自分が刃物に近づくことを想像しただけで、嫌な汗が吹き出る。
「え、あ、えと……、見ても分からないし急いでいるので良いやつをひとつ、くだ、さい。あの、誕生日プレゼントなんで包んでください……」
「良いやつ……。じゃあ……」
パタパタと店に戻っていった店員さんがすぐに出てくる。
手には刃が3つに割れた小さな剣のようなもの。
「これ、4代目火影様が使われてたデザインで……」
「っ……」
頭から血の気が引いてグラリと体が傾く。
「大丈夫ですか!?」
店員さんが咄嗟に体を支えてくれる。
「だ、大丈夫です。じゃあ、それで。
あの、ちょっと体調がよくないから外で待たせてください。
あの、これお金……」
「あ、じゃあここ、掛けててください!!
すぐ包みますから!」
「ありがとうございます」
店先にあったベンチに倒れる前になんとか座り込む。