第10章 2人きりのバースデーパーティー
「え!?来週が誕生日!??」
「はい、そう伺ってます。ご馳走は何がいいかご相談を……」
「えええええー!!!」
「ご存じ、なかったですか……?」
「はい……」
シュンとなってしまったわたしに、お手伝いさんのコウさんが笑いかける。
「提案なのですが、一緒にお夕飯を作りませんか?」
「え……?」
「すべて、とはいきませんが包丁を使わないご馳走を考えてきます。だから火影様のお誕生日のお祝い、一緒に作りましょう」
「お願いします!!!」
わたしは座っていた椅子から立ち上がると、コウさんの手をガシッと両手で掴んだ。
「はい」
コウさんはニコリと笑って頷いた。
うちに来てくれるようになって1ヶ月余り。
初老のコウさんはすごく穏やかな性格で、お料理だけでなく、掃除や洗濯、家事のことをわたしにたくさん教えてくれる。わたしにとっては、ここで生活していくためになくてはならない存在になっていた。
「ではまた来週」
できたおかずをタッパーに小分けに入れ冷蔵庫に仕舞うと、コウさんがペコリと頭を下げて玄関へと向かう。
お礼を言ってコウさんを見送ると、わたしは急いで身支度して外に出た。
なんで誕生日とか大事な日、教えてくれんかったんよー!!
カカシのことやから、絶対誕生日やって忘れてるんや……
自分のことにはビックリするくらい無頓着やし。
でも、今はとりあえずカカシの誕生日を目一杯祝うことだけを考えよう。
喜んでくれるといいな。
わたしは9月になってもまだまだ暑い昼下がりに、足早に商店街へと向かった。