• テキストサイズ

【NARUTO】月影の恋人(R18)

第1章 月下の出会い



 カカシはしばらく黙っていたが、諦めたように「わかった」と言ってくれた。
それだけで嬉しくて舞い上がってしまう自分を止められなかった。

「……」

「……」

「起きとくなら、なんかしゃべってよ……」

「そっちこそ……」

「夕月が起きてたいんでしょ?」

「そーやけど……」

話したいことがすぐ出てこなくて困ってしまう。

「……、なんでずっと口の布つけてんの?」

咄嗟にパッと目に入ったカカシの口布を話題にする。

「あー、ずっとつけてるから、人前で外すの落ち着かないんだよね」

「寝るときも?」

カカシは今も口布をしたままだ。

「さすがに家では取るよ?
でもここは外だし、夕月もいるじゃん」

「隠されると気になる……」

最初は話題欲しさに話し出したけど、見れないとわかると余計に見たくなってくる。

「じゃあ、気にしといて」

カカシは見せてくれる気はないらしい。

「……」

「……」

話が終わってしまい、再び沈黙が落ちる。
何を話そうかと思案していると、カカシが「名前……」と言った。

「え?」

「夕月はここでの名前でしょ?
本当の名前、なんて言うの?」

本名は教えない決まりになっている。
でも、カカシになら教えてもいい気がした。
いや、むしろ教えたいと思った。

でもーーー

「教えない」

わたしは満面の笑みでそう言った。

「えー、気になるでしょ?」

不服そうなカカシの顔、かわいい。

「ふふ。じゃあ、気にしといて」

わたしはカカシがさっき言った言葉を口真似して返す。

「えー、もうなんなの」

楽しそうに笑うわたしにつられてカカシも笑い出してしまう。

 しばらくクスクス笑っていたが、それもおさまって、再び沈黙が訪れる。
今度はもう話題を探さない。
わたしはカカシの布団に手を突っ込むと、カカシの手をとりぎゅっと握った。
カカシの手は少し乾燥していて、大きくてゴツゴツしていた。

「……ねえ。
夕月も遊女なら男がどんな生き物か知ってるでしょ?」

「うん。
でもカカシは何もしないって言うたし、約束を破るような人じゃないやろ?」

意地悪だってわかってても、もう自分の欲望を止められなかった。
カカシに、ただ触れたかった。

「なにそれ……。
拷問?」

「ほらほら、早く寝んと、うちあっちの部屋帰らへんで?」

/ 93ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp