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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第1章 月下の出会い



 男がいた座敷に身なりを整えてから行くと、少しだけ会話を交わし、わたしたちは早々に部屋に引き上げた。


「はぁ、やっと解放された……」

男は思い切り伸びをする。

「疲れた?」

「ん、まーね。
最近慣れない仕事が多くてね」

「ふぅん」

わたしは熱いお茶を入れて小さなテーブルに置くと、男に座るよう促した。

「ありがとう」

そう言ってグレーの瞳を細め少し笑うと、男はテーブルの前にあぐらをかいてお茶を一口飲んだ。
明るいところで見ると、男の目の下にはくっきりとクマができていた。

忍というのは眠れないほど忙しいものなのだろうか。
一緒に来ていたのは確かこの店の常連の大名。
そんな人と会うなんて、この人は忍の中でもえらい人なのかもしれない。

そんなことをぼんやり考えながら、わたしもお茶を啜る。

「夕月は、座敷に戻らなくても平気なの?
仕事中だったんじゃないの?」

ふと不思議に思ったのか、男が問いかけた。

「へーき。
わたしなんか、いてもいなくても一緒やから」

「そうかな?綺麗なのに」

不意に言われた一言に顔が赤くなってしまう。
いつもなら軽く流すお世辞の言葉も、なぜか今日はうまく流せない。
こんなことで顔を赤くするなんて遊女失格だ。
なんだかこの男といると調子が狂ってしまう。

「べ、別になんも綺麗ちゃうし。
そういや、まだ名前聞いてなかったわ」

わたしはなんだかいたたまれなくなって、早口で無理やり話題を変えた。

「ああ、ごめんね。
まだ言ってなかったっけ。
オレは、はたけカカシ」

「カカシ……様」

「様はやめてよ。
カカシでいいよ。
最近火影になって様で呼ばれること増えたんだけど、どーもガラじゃないしこそばゆくって」

「火影……?」

「うん。
里の長ってこと」

「カカシは忍の長なん?」

「意外?」

「うん。
長っていうと、もっと白い髭を蓄えたおじいちゃん想像しちゃうわ」

「ふふ、何のイメージなのそれ」

「わからん、なんか物語とか」

カカシはおかしそうに笑うと、きれいにまとめてあった銀髪をわしゃわしゃとかき混ぜた。
こっちの方が居心地がいいんだとばかりに、ボサボサになった頭を気にすることなく話を続ける。

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