第4章 * 結ばれた二人
「っんっ……」
強引に重なった唇。
唇の感触を楽しむように、何度も角度を変えては、また重なる。
酸素を求めて開いた口から舌が入ってきて、口内もくまなくまさぐられる。
カカシのキスが気持ちよくて、体から力が抜けていく。
肩から二の腕を撫でていた手が敏感な首筋を伝い、思わず吐息を漏らすと、唇がゆっくりと離れた。
目を開けると、欲情したカカシの目がわたしを見下ろしていてゾクリとする。
「はぁ……、もう、ホント可愛いんだけど……」
ぎゅうっと抱きしめられて、カカシの膝の上に乗るように抱き起こされる。
「カカシ?」
カカシはそのままわたしをぎゅうぎゅう抱きしめ続ける。
てっきりそのまま抱かれるんだと思っていたから、少し残念なような気持ちになってしまう。
「結のこと、抱きたい……」
カカシが抱きついたまま小さな声で言う。
「すっごく抱きたいけど、抱きたくない」
「どういうこと?」
顔が見たくて少し離れようとするが、ぎゅっと抱きしめられてそれもできない。
「カカシ……?」
もう一度、強く抱きしめちゅ、と耳たぶにキスされる。
「結のこと、すっごく好きだから、大事にしたい……」
カカシがわたしを大事に思ってくれていることは、優しく触れてくる感触や、言葉や、態度で十分伝わっていた。
「そんなん……」
分かってると言いかけたわたしの言葉に被せるように、苦しそうにカカシが言葉を続ける。
「結は抱かれるのが当たり前の環境にいるでしょ?
だからこそ、初めての2人のエッチを特別なものにしたい……。
オレの性欲だけで抱きたくない」
そんなことを思ってくれてたんだ……。
わたしはカカシの胸をそっと押す。
今度はすぐに腕を緩めてくれたので、わたしはカカシの目を真っ直ぐ見ることができた。
「あんな、わたし、カカシが初めて好きになった人やねん。
で、初めて自分からキスした人で、初めての恋人。
やから、何もかも特別やし、今すぐにだってカカシに抱かれたい。
だって、わたしもカカシが大好きやから」
「結……」
カカシが少し逡巡するように瞳を揺らす。
それからそっと頬に触れて、キスをする。
それはさっきみたいな勢いのあるものじゃなくて、ただ、ひたすら優しいものだった。