第4章 * 結ばれた二人
すっかり暗くなった部屋。
結局夕方まで眠ってしまったカカシにお風呂に入ってもらい、夕飯を待っている間、わたしはニヤニヤするのを止められなかった。
わざとゆるく着せた、紺地に白い大ぶりな百合が描かれた絹の着物に、男物の黄土色の帯。
大ぶりな柄はカカシを魅惑的に見せたし、着物の濃い色は、色素の薄い肌によく似合っていた。
「うん!完璧!」
わたしとは対照的に「なんか股がスースーするんだけど……」とカカシが嫌そうに眉を寄せた。
好きな男に自分の着物を着せて楽しむのが、最近の遊郭でのブームだった。
カカシもその餌食になったと言うわけだ。
「オレ、一応病人なんだけど……」
文句を言いながらも、カカシはその格好のままで過ごしてくれた。
よく寝たからか、顔色がかなり良くなった。
夕食を食べた後しばらくゆっくりして、寝る準備を整えて寝室に入ると、カカシはあの格好のままうつ伏せになって、なにか本を読んでいた。
抜いた襟から覗くえりあし、はだけて覗く筋肉がついたふくらはぎ、口元のほくろも、なんだか全部セクシーだ。
少しドキドキしながらカカシの横に同じように寝転がって覗き込む。
「何読んでるん?」
「んー、愛読書」
視線を上げずに答えたカカシの手元をさらに覗き込むと、すごくエッチな内容が書かれていた。
「げ、18禁やん」
「うん」
当たり前とでも言いたげにページを捲りながらカカシが頷く。
全然わたしを見てくれないカカシに少しムッとなり、さらにずいっと顔を近づける。
「そんなん読んでてムラムラしーひんの?」
そこでやっとカカシが本から顔を上げる。
「ムラムラしたら結が治してくれんの?」
意地悪な顔で言われて、わたしも意地悪で返す。
「わたしにムラムラした訳じゃないからあかん」
プイッと向こうをむくと、カカシの手が顔に伸びてきて無理やりカカシの方に戻される。
「いつもムラムラしてるよ」
「え?」
「こんな可愛い恋人が近くで無防備な姿でいたら、ムラムラしちゃうでしょ」
いつの間にか本を置いたカカシが、わたしの頬にキスをする。
もっと触れてほしくて、わたしからもカカシにキスをすると、肩を優しく押され、布団の上に仰向けに押し倒された。