第4章 * 結ばれた二人
次の日の朝、目覚めるとダルさは残るが昨日のような頭痛はなくなっていた。
まだすやすや眠っている結を起こさないように、そっと起き上がる。
めくれた布団の下、はだけた襦袢からのぞく結の白い胸元や太ももが目に入ってしまい、慌てて布団をかけ直す。
目の毒……
いや、想いを伝え合って恋人になったのだし、悪いことをしているわけでもないのだが……。
結の思いを聞いて、理性のタガが緩んでいることは確かだ。
でも、遊女だからこそ、体を重ねて当たり前の環境にいる結だからこそ、“はじめて”を大切にしたかった。
朝ごはんを食べながら、昨日のことを結から詳しく聞く。
「シカマルが来たの!?」
飲んでいたお茶でゴホゴホとむせてしまう。
花街は未成年は立ち入り禁止だ。
どうせ、綱手様が社会経験だとかなんとか言って、シカマルをからかったのだろう。
17のシカマルには女の匂いプンプンのこの店は、すごく入りづらかっただろう。
帰ったら、詫びになにか奢るか……。
「あ、あとこれ手紙預かった」
手紙は綱手様からで、愛ある説教と、仕事を3日代わってやるからゆっくり休めという労りの言葉が書かれていた。
ありがたいが、帰ったらしばらく花街ネタでいじられることを思うとげんなりした。
食後に砂の里の報告書だけでも書いてしまおうと机に向かったが、顔色がまだ悪いと結に布団に連れて行かれてしまう。
「カカシは無理しすぎやねん!
いつも目の下にクマ作ってるし。
そんなんじゃ、また倒れるで!
今は仕事禁止!!」
「……はい」
大人しく布団に潜り込むと、結が布団を肩まで引き上げてくれた。
「結は今日は仕事は?」
「お金ちゃんと貰ってるから、ずっとカカシのそばに居れるよ。
昼ごはんなったら起こすから、今は寝とき」
「ん……」
目にかかった前髪を結の温かい手がよけてくれる。
そのまま小さい子にするみたいに何度か頭を撫でられて、なんとなく最初は気恥ずかしかったが、オレはいつの間にか眠ってしまった。