第7章 過去。
目線を床に落としたわたしを助けてくれたその人をみて、自分の背中をみたいと頼んでみた。
五条「僕は見るのはおすすめしないよ。」
愛「、、。はい。でも。それでも、、、、自分の体だからこそ見たいんです。」
ふぅーと諦めたように息をはいたその人は姿見を持ってきてくれた。
着ている服を脱いで、巻かれていた包帯を外してもらう。
鏡にうつった背中をみて、息をのんだ。
赤黒く、まるで蛇がとぐろを巻いたような生々しい跡が背中一面におおきく残っていた。覚悟はしていたけど、こんな酷いなんて…。
思わず鏡から目を背けると、目隠しをしたその人が姿見を横へと移動させてくれた。
五条「ごめんね。僕がいながら君にこんな跡をつけさせちゃって…。僕のミスだ。ほんとにごめん。」
愛「そんな!あなたは悪くないです!!だって、わたしを助けてくれたんだもん!!こんな傷、大丈夫です!命を救ってくれただけで、わたしは本当に感謝してるんです。ありがとうございます…。」
五条「……。そう言ってもらえると僕も嬉しいよ。そうだ、まだ名前言ってなかったよね?。僕は五条悟だよ。」
愛「五条さん…。ありがとうございました!わたしは愛です!!。改めて、よろしくお願いします。そうだ、、、あの、、、あの後、わたしの両親はどうなったんですか?……。」
五条「悟でいいよ!。あの二人はすぐに出ていったよ。君を気に止めることなくね。僕、あの二人、嫌いだな……。昔からあんななの?。」
愛「……はい。小さい時から変なものが見えちゃうわたしをずっと気味悪がってました。わたしは両親に愛されたくて、変なものが見えても見えてないように……普通の人みたいに過ごすように頑張ってきたんですけど……。無理だったみたいです…………。」
ただ、、、、、愛されたかった。
両親に愛されたくて、頑張った。
普通の親子みたいに仲良く過ごしたくて、自分を偽ってきた。
でも。わたしは愛される資格がなかった。
誕生日おめでとう。
そう言って笑っていた両親の顔が脳裏に蘇る。
嬉しかった。幸せだと思った。
夢にまでみた幸せな家族になれたんだと思った。
でも、わたしだけが幸せだと思い込んでいた。