第8章 君と僕。
硝子は愛の身体を丁寧に診察してくれた。
でも、背中をみた瞬間、硝子の表情が歪んだ。
硝子「……。酷いね……。
あんたが書いてくれた報告書にあった呪詛師の男について、なにか分かったことはあるの?。」
五条「それがお手上げ状態なんだよね。呪詛師のリストにも、僕が見たあの男の顔はなかった。過去の呪詛師のリストにもなかったよ。」
硝子「新手かもな。
ただ、その男、だいぶ厄介な奴だな。
この子の背中にある痣だけど、
わたしの力じゃどうしようもない……。
今まで見てきた事例とは、まったく別物だよ。」
五条「硝子でも治せそうにない?。」
硝子「……。正直なとこ、難しい…。
前例のないモノだし、
それにこの痣は、
なんだか一筋縄ではいかなさそうなモノだよ。
なんていうか……。
この痣。生きてるみたいだ……。」
五条「いき…てるね。
硝子、診察ありがとう。」
硝子「すまない。力になれなくて。
私も少しこの痣について、
色々と調べたりしてみるよ。時間をくれないか?。」
五条「うん、硝子に任せる。
そうだ。僕、オジイチャンに呼ばれてるから、
硝子ちょっとだけこの子、見といてくれない?。」
硝子「あの人に呼ばれてんのか。
いいよ、この子はここで見とくよ。」
五条「ありがとね!。」
(この痣。生きてるみたいだ……。)
硝子の言葉がずっと引っかかっていた。
一体、あの痣はなんなんだ?。
あの男も正体不明だし、
硝子が言うように新手か?。
そうだとしても、アイツは絶対に僕が見つける……。
あの子にあんなことをしたことを
後悔させてやる……。
愛……、
背中をみたらどう思うんだろうね。
もしも、泣いてしまったら僕が彼女を
いっぱい慰めてあげなくっちゃね。
そうやって、僕の虜に……。
楽巌寺学長が待っている部屋までついたけど、
なんだかなぁ〜。僕、愛のことで頭が
いっぱいだからオジイチャンに割いてる時間なんで
無いんだけどな……。
まっ、愛のことも説明しないと
ダメだし、とりあえず話すか。
ガラッ。
五条「おまたせ〜、オジイチャン!。」
楽巌寺「遅い。
老い先短い年寄りの時間は高くつくぞ。
……。では、お前が連れてきた、
あの娘についての話でも聞かせてもらおうかの。」