第1章 "誰かを想うこと" 社長のお誕生日ss
そして、国木田が言っていた通り、福沢である事を確認した後にクラッカーと呼ばれるものの紐を引っ張ろうとした刹那、一斉に鳴り響く音に俺は肩を震わせた
そして、反射的に銃を取り出し、手に掛けて、辺りを見回す
しかし、其処には何も無い
俺は状況が読めずに首を傾げていると、前方から名を呼ばれて我へと返った
「案ずるな、其れはクラッカーの音だ」
「クラッカー?」
「嗚呼、お前が今、手にしているものだ」
福沢の言葉に俺は視線を掌へと向ける
「クラッカーにぶら下がっている紐があるだろう、引けば音が鳴る……先刻説明した筈だが、」
「う、煩ぇ! 言っただろ、俺は初めてなんだ!」
俺は国木田へと睨みを利かせると共に掌にあるクラッカーと呼ばれるものの紐を今度こそ、引っ張ると破裂したかの様な音が鳴り響いた、
「……では、改めて、」
俺がクラッカーの音に肩を震わせている間に国木田は咳払いをした後に言葉を発した
「社長、お誕生日!」
「おめでとうございます!」
全員が声を揃えて福沢に伝える
その言葉に福沢は少しだけ目を細めた
「毎年、すまぬな……感謝する、」
そして、その言葉と共に宴会は始まった