第1章 "誰かを想うこと" 社長のお誕生日ss
……これ、"ついで"の量じゃねぇ……本命の量だろう
そして、ついで、と言っていた量を大幅に超える程の荷物を待たされ、俺は探偵社に帰って来た
与謝野に付き合わされて色々な所へ連れ回され……いや、振り回された俺
それでも、俺達よりも早くに外出していた筈の福沢は帰って来てなかった
自分の誕生日って言うのに、忙しねぇ奴だな……
そう思いながら、抱えていた荷物を全て下ろし終えた丁度その頃、遠くの方で少しの話し声が聞こえた後に扉が閉まる音が聞こえた
「帰って来たんじゃねぇか?」
そう言うと、国木田はオフィスから少しだけ社長室を覗くと先刻まで灯ってなかった光が見えたことに気が付いた
「その様だな、では、いつもの手筈で頼む」
「はい、」
国木田が指示すると谷崎が頷いて事務室へと向かった
その背中を見送ると、俺は名を呼ばれて徐に向くと国木田は此れを、と手の上に何かを乗せた
それは三角錐の形をした黄色と赤色の縞模様が象られたものだった
「何だ、これ……?」
「クラッカーだ、此処を引っ張ると火薬で中身が飛び出して音が鳴る……社長がいらっしゃったら、鳴らすんだぞ、善いな」
俺が掌から視線を外して国木田の方へと視線を向けると簡単に説明してくれた
俺はじっくりと見つめた後に小さく頷いた
国木田は先刻、火薬って言ってたが……こんな小さな中にどうやって入ってんだ?
構造が気になり、ずっと見ていたら、扉が開いた為に視線を向けた