第2章 とある日の日常 スーパー猫の日
窓から射し込む陽射しに誘われるように俺は船を漕いでいたが、我へと返った俺は徐に目を瞬かせる
ーーふぁ~……
そして、未だ覚醒しておらず、眠りに誘われるように欠伸をした
ーーあ~……本気で寝そうになった……
本格的に寝ないため、俺は徐に起き上がって、毛を整える
毛繕いを終え、窓枠に躍る光に導かれるように社内を散歩していると、とある場所の扉が開いていた
俺は興味本位で覗いてみると、地面に近い視点では誰も居ないように感じる
しかし、奥に感じる、確かな気配を頼りに俺は徐に歩いて行く
そして、気配がする前へと立つと勢いを付けて後ろ足で跳んで、隣へと降り立つ
前足と後ろ足を揃えて座ると先刻まで難しい顔をして椅子に腰掛けていた人物、福沢が気が付いたように此方へと視線を投げ掛けた
目が合うと福沢は口を開いた
「徳冨か、どうした」
福沢はそう口にすると共に何の躊躇も、迷いもなく俺へと手を伸ばし、頭を優しく包み込むように撫でる
その手付きに、俺は思わず目を細めて、身を委ねるように頭を擦り寄せる
しかし、我へと返った俺は雷に打たれたくらいの衝撃を受けた
何故なら、以前までの福沢ならば撫でることに慣れておらず、手付きも不器用で覚束ない様子だったのでこの様な事は絶対に無かった
……この事から推測するに、福沢は猫の扱いに慣れてきたことが判る……
……何だか、
俺は包み込まれている手の中で福沢への怫然を表していた
ーーすっげぇ……悔しいっ、
暫し、睨みを利かせていた
……でも、まぁ
しかし、俺は更に福沢の手へと擦りよった
ーー気持ち善いから、善いか……
……だが、その考えも進化した福沢の手付きの前では無力なもので、首元を撫でられた俺はあまりの気持ち善さに喉を鳴らしていた
これは、そんな昼過ぎの出来事であった、