第23章 早とちりも程々に※
こはるちゃんが寝てしまったので、到着した隠の人に預けると、すぐに時透さん達が帰ってきた。
怪我を負った隊士の人たちを連れて。
どうやらやはり稀血に釣られて吸い寄せられるように鬼が集まってきていたらしい。寝ている間に彼女の首に藤の花の匂い袋を吊り下げておいたが、もう少し来るのが遅かったら鬼がもっと強化していたかもしれない。
涼しい顔をした時透さんと違い、青い顔をして戻ってきた隊士の人は多かれ少なかれ全員が怪我を負っていてその戦闘の凄惨さが伝わってきた。
「霞柱様。怪我人の手当てをします!」
「うん。お願いします。」
そう言うと彼が連れてきていた二人を渡される。見たことのない顔なのでこの二人が連絡が取れなくなっていた隊士の人なのだろう。
「大丈夫ですか?足ですか?」
「すみません…。情けないことに鬼との戦闘で崖から転落して足を怪我してしまって…。」
「俺も…。それで助けを待っていたら霞柱様に助けられました。」
「そう言うことだったんですね。すぐに応急処置をしますね。」
二人とも足に力が入らないようでゆっくりと関節を曲げたりしてみると完全に骨折していることがわかり、添え木をするために近くにあった枝を巻きつけた。
戦闘で首を斬るのは苦手でも、こうやって人の手当てをしているのは嫌いじゃない。
人間の生命力を感じられる瞬間でもあるが、儚さを感じてしまう場合もある。
それでも一生懸命に生きたその姿は男でも女でも格好良いと感じるし、その生き様に立ち会えたことは嬉しいし、有難いと思うから。
再び生を吹き込めるか、最期の時を看取るかはその人次第だが、人の一生に関わる仕事をさせてもらえることを誇りに感じている。
それと同時に今回、医療班兼務で来ることを宇髄さんが了承してくれていたと言うことへの感謝の気持ちも膨れ上がった。
二人の添え木を終えると隠の人に引き渡し、今度は先ほど時透さんと共に鬼狩りに行っていたあの二人と向き合った。
一人はかすり傷程度だが、もう一人は腹部に裂傷を負っていて出血も多そうだったので、まず止血をするために患部を布で圧迫した。
どれだけ嫌みを言われたとしても命に重い軽いはなければ、区別することもない。命は皆平等なのだから。