第4章 実力試験は実戦で
しのぶさんが教えてくれた最終選別とは藤襲山で行われる入隊試験のことで生捕りにされた鬼が一年中咲いている藤の花により閉じ込められているらしい。
そこで"七日間生き抜くこと"で、合格となり、日輪刀と鎹鴉が支給され、晴れて鬼殺隊の一員となる。
今年はしのぶさんの継子であるカナヲさんも受けるということを変わらぬ微笑みのまま教えてくれた。
そこまで聞くと自分は日輪刀を持ってはいるが、本来であればこれは私なんかが持つべき物ではないのだと気付かされた。
その最終選別も受けていないのに…。
これは両親が産屋敷家と関わりがあったが故に特別扱いでもらったもの。陰陽師一族ということで耀哉様が気を遣ってくださったのかもしれない。
「…私も、受けることはできるのでしょうか?」
「………えぇ?!ほの花さんは宇髄さんの継子とは言え、身を守る術だけ彼に教えて貰えばいいのだと思いますよ…?」
「ですが…!私も…役に立ちたいんです…!誰でも受けれるんですか?」
「…そ、それは…でも…ほの花さんは呼吸は使えないのでしょう?あまりに無謀かと思います…。」
呼吸…。
そう言えば呼吸って何だろう?宇髄さんは私に教えてくれたこと一度もないけど、それが何故なのか考えたこともなかった。
「…呼吸が使えないと鬼は倒せないんですか?」
「いえ、そういうわけではないですが…。鬼は陽の光が苦手なのでそこに追い詰めて焼き殺すという方法もあるにはあります。でも…あれ?ではどうやって鬼になったお父上を殺したんですか?」
「え?!あ…!え、えと…。」
完全に墓穴を掘った私はしどろもどろになり、冷や汗をダラダラ流しながらじぃっと見つめてくるしのぶさんから視線を逸らした。
私はどうしてこうも取り繕うことができないのか。
自分の不器用さに泣きそうだ。
もちろんしのぶさんの「何か腹に一物ありそうですね?」というにこやかな問いかけを無視する術を持ち合わせてはいなかった。