第23章 早とちりも程々に※
森にいるかもしれないと言う鬼の気配を探りながら歩くこと数十分。
連絡の取れなくなった鬼殺隊の人は無事だろうか…。怪我をしていたのならば直ぐに応急処置をしなければならないので、私の気も引き締まる。
時透さんのご厚意で後ろを薬箱を持ちながら歩いていると更に後ろにいた鬼殺隊士の人が小声で話しかけてきた。
「神楽ほの花ってあんただったんだね。音柱様の継子なのに恋人にもなったって聞いてたからどんな好色女かと思ったら意外に清楚な感じで驚いたよ!」
「…え?どう言う意味ですか?」
「お、おい…やめろよ。」
もう一人の人が止めに入ってくれるが、明らかに敵意剥き出しのその口調に眉間に皺が寄ってしまう。
「そのままだけど?どうせ継子にだって色目使ってなったんだろ?良いよなぁ、女ってだけで武器になって。その顔で男を釣って愉しんでるなら俺も遊んでくれよ?継子よりよっぽど男遊びのが向いてるんじゃねぇの?」
まぁ、そういう人もいるとは思っていた。
継子なんてなりたくてなれるものではない。柱の了承もいるし、そもそも柱は忙しいから継子を取っていない人のが多いからだ。
そして私は産屋敷様の配慮で宇髄さんの継子になっただけで、決して彼から選ばれたわけではない。
色目使ったことはないけど、恋人としての私も広まってしまっているし、誰に聞いても私は彼に守られていることが分かる以上、こうやって思う人は実は多いのではないかな。
アヤメちゃんの時もそうだったけど、男女関係なくやはり柱に稽古をつけて欲しい人は多いのだろう。
「…今は任務中なので、そういうお話は後ほど伺います。」
「へぇ、相手してくれんの?床上手そうだもんな?助平な体してよ。」
舐めるような視線を後ろから感じるが、無視を決め込むとその態度が気に入らなかったのか「おい!」と強く腕を引っ張られた。
こんなところで仲間同士で揉め事があるのは頂けないし、恥ずかしい。
ため息を吐き、もう一度窘めるために仕方なく向き合おうとすると前から勢いよく小石が飛んできて腕を掴んでいたその人の手に当たった。