第23章 早とちりも程々に※
「なるほど…!そうなんですね。知らなかったです。宇髄さんが了承していて、尚且つ私でお役に立てるのならば承知しました!」
「はい。継子さんの応急処置は迅速で薬師としても信頼が厚いと鬼殺隊の中でも有名な話ですけど、今後頼むにあたって剣士としてどれだけ戦えるかも知りたかったので宇髄さんにお願いしました。身の安全は保証しますので安心してください。」
時透さんは律儀に身の安全まで保証してくれるところを見ると宇髄さんが何か言っているのだろうか。流石に鬼殺隊だと言うのにこの状況は至れり尽くせりすぎる。
「あ…いや、大丈夫です。これでも一応、鬼殺隊なのでそこまで守っていただかずとも…!」
「え、それは困ります。継子さんに何かあると家の玄関を壊されてぶん殴られると有名な話なんです。柱同士で殺し合いになるのは一番困ります。」
真面目な顔をしてそんなことを言うものだから宇髄さんが普段からこの人たちに私のことをどう言っているか何となく察した。
恥ずかしいことこの上ないが、彼は彼なりに私を大切にしてくれているのはわかるのでそれを咎めることなどできない。
かと言って普段の彼を見ていると時透さんが言ったことを否定もできない自分もいて、顔を引き攣らせた。
「…何か…いつもうちの師匠がすみません…。えと、今日はよろしくお願い致します!宇髄さんが知ってる任務ならば私から伝えておきます!わざわざ出向いて頂きありがとうございました。」
「いえ。医療班兼で来て頂くのでそちらの準備もよろしくお願いします。あとで鎹鴉に詳細を伝えますので。では。」
頭を下げてそのまま出ていこうとする彼を呼び止めて「あ、お茶でも…!」と今更感のある誘いをしてみたが、「大丈夫です」と無表情で言われてしまってその場に取り残された私。
柱が訪問してくれたというのに何のお構いもしなかったことに、もっと早く上がって貰えば良かったと後悔したが、…時すでに遅し。
玄関先で全ての会話を終わらせた時透さんは颯爽と帰って行った。