第23章 早とちりも程々に※
ほの花の妊娠疑惑が浮上した翌日の昼間。
昼食を食べ終わった彼女からとんでもないことを言われて目が飛び出そうになった。
「は?ちょ、ちょっと待て…。今何つった?」
「え?だから今日、霞柱様と夜任務に行ってくるね。宇髄さんが了承したと言ってたからいいんだよね?」
いや、確かに了承した。しかし、それは今すぐにと言うわけではないが、そんなことを言っていなかった自分にも非がある。
そしてほの花が妊娠してるかもしれないと言うことを知っているのは俺と胡蝶のみ。
それも確かなことはまだわからないのだから此処で止めるのも如何なものか。
「ちょ、ちょっと待て。アイツ、いつ来た?」
「宇髄さんが寝てる時に来てくれたの。まだ寝てるって伝えたら、了承もらってるって言ってたからいいのかと思って…。何か兼医療班で行けばいいんだよね?薬箱持っていかないと!」
「待て待て待て!!体は?体調はどうなった?」
顔色は悪くなさそうだが、まだ気持ち悪いかもしれないし、微熱はどうなのだろうか。
「微熱は朝計ったら、三十七度まで下がってたし、吐き気はもう殆どないよ。」
「まだ体調悪ぃんなら無理することはねぇよ。俺が時透に断ってやるから。」
「え?でも…医療班の人が足りないんでしょ?時透さんが言ってたよ?」
下がったとは言えまだ三十七度台のそれに、完全に吐き気がないわけではないということを盾に喰らいつくが、時透の奴、ほの花がやる気になっちまうことを言いやがって…。
やる気に満ちた目で俺を見つめる彼女を断れる男がいたら見てみたい。
しかも、今回はほの花を貸すと三人の柱の前で公言してしまっているし、妊娠疑惑の件は俺と胡蝶しか知らないこと。
ほの花にそれとなく言ったとしてもまだ確定もしていないことを此処まで心配してしまっている俺を揶揄されるだけの気がするし、実際のところ胡蝶からもそこまでは言われてない。
様子を見てあげてくださいと言われただけ。
体調が回復していることは間違いないが心配が消えないのは疑惑が完全に晴れたわけではないからであってそれは誰しもが分からないことなのだ。
それでも、それ以上断る口実が見つからず、苦渋の決断で行かせることにしたが、気が気でない俺が夜まで気がそぞろだったのは言うまでもない。