第23章 早とちりも程々に※
微熱はまだある。
吐き気もある。
怠さはない。
そして食欲はある。
屋敷に帰ると真っ直ぐにほの花の元を訪れて症状の確認をすると行く前と大して変わってなかった。
夕飯の時間になると、気持ち悪さがあるのだから無理して食べなくていいと言ったが平気そうな顔をして「お腹はすいたんだもん」と言われるので、様子を見ている。
風邪ならば無理して食べることはないと思う。
しかし、妊娠ならば腹の子の分も栄養取らなくてはならないのだから食べた方がいいとも思う。
現段階ではハッキリしないのだからこちらが色々と考えたところで無意味な話だ。
「お、おい…おかわりすんのか?やめとけ?な?また吐くぞ。」
「えー?やめておいた方がいい?お腹空いたんだけど…。」
吐き気はあると言うのに食欲があるという謎の症状は益々妊娠初期症状なのではないかと疑い始めたらどんどんのめり込んでいく。
もしそうならば早々に任務などやめて欲しい。
体を大事にしてし過ぎることはないからだ。
「いや、本当に食えんの?あとで気持ち悪くなるぞ?薬飲むなって胡蝶に言われてんだからよ。」
「そっかなぁ。分かった。今日はもうやめとく。」
漸く諦めてくれたほの花に一安心したが、今度は数分後に全員の食べ終わった食器をお盆の上に乗せて台所に運ぼうと立ち上がったので慌てて取り上げた。
「え、な、なに??」
「俺が運んでやるから。重いモン持つな。」
「はい?重いモン持つなって…。これくらいいつも持ってるけど?それに片付けは私の仕事なの。」
不満そうにこちらを見るほの花にどう言い訳していいか分からずに、そのままお盆を持って歩いて行ってしまった彼女の後をついていく。
「もうー、一体どうしたの?ちょっと胃の調子がおかしいだけだよ。心配しすぎだって。」
「そりゃ心配になるだろ。俺のことは気にすんな。お前のことは俺が見ててやる。」
「これじゃ金魚のフンだよ〜。」
「テメェ!誰がフンだ!!おちょくってんのか!」
何を言われたとしても胡蝶から言われたことが頭を離れない今、俺の不安は次から次へと出てきてしまうのは仕方ないことだ。