第23章 早とちりも程々に※
宇髄さんが仕事で出かけて行き、二時間後くらいに漸く目が覚めた私は胃の不快感にげんなりしていた。
吐くほどの気持ち悪さではないのだが、胃がムカムカして気持ち悪い。
流石にそろそろ胃薬でも飲んだ方がいいだろうかと思い始めてきた。
乱れた夜着を整えてやりっぱなしだった調合の続きをやるために座卓の前に座ると、足音が聴こえてきたかと思うと勢いよく襖を開けられた。
「っ、うわぁ!びっくりしたぁ!お、おかえり。」
「ほの花、寝てなくていいのか?吐き気は?微熱はどうだ?」
大股で私の前まで来るとぺたぺたと額やらを触って体調の確認をする宇髄さんにキョトンとしてしまう。そんな言うほど重病なわけでもないのにやけに心配そうな彼の姿が不思議だ。
「えー?微熱は分かんないけど、吐き気はまだあるから食後に風邪薬飲もうかなって思ってたとこ。」
「…風邪じゃない可能性もあるだろ。胡蝶に症状言ったらもう数日様子を見ておけって言ってたぞ。」
「わざわざ聞いてきてくれたの?ありがとう!!そっか。それならやめておこうかな。しのぶさんが言うなら…。」
今日はしのぶさんとも会ったのだと分かると途端に気分が良くなったように感じた。
しのぶさんのことを信頼しているし、宇髄さんが症状を言ってくれたのなら様子を見てみようと素直に思えた。
「体は怠くねぇか?」
「んー、特に怠いとかはないかなぁ。寝起きでちょっと眠いけど。」
「そうか。夕飯は無理して食うなよ…いや、食った方がいいのか…。うーん…。」
一体どうしたのだろうか。
めずらしく宇髄さんは落ち着かない様子でコロコロと表情も変わる。
心配してくれているのは変わりないのだが、何やら様子がおかしい。
「どうかしたの?なんか変じゃない?」
「あ?別に変じゃねぇよ。心配してんの。無理すんなよ?」
心配してくれてるのは分かるけど、いつもと違う様子に疑問は拭えない。
しかし、それ以上聞いても素知らぬ顔をされるので、本当に心配してくれているだけなのかと思い、それ以上は聞かなかった。