第23章 早とちりも程々に※
微熱があるとは思えないほど元気な私。
確かにいつもより少し体が熱いかもしれないが、体調が悪いわけでもなかったので不思議で仕方なかった。
言われるがまま夜着に着替えて、休みながらなら調合をしてても良いと言われたので、布団を敷いてその横にいつも使っている座卓を持ってくる。
「何かあればすぐ呼べよ?あとで任務の件で柱数名と打ち合わせがあるんだが、それ以外は此処にいるから。」
「あ、うん。ありがとう。」
身支度を整えると宇髄さんは部屋に戻って行ったが、数時間だけでも空いてるなら一緒にいたいと思う反面ゆっくりしてほしいとと思う。
柱の方との打ち合わせということは忙しいのだと思うけど、本当ならば抱き合ったり、口付けたり恋人同士の休日を過ごしたいという欲もあり…。
これでは欲求不満ではないか?
たかが一度朝の情交がなかったからといって性欲が強すぎなのではないか。
あまりに恥ずかしい自分の考えに頭を振って薬に向き合った。
しかしながら、朝方全て吐き出したこともあり、昨日の甘味食べ放題の負債はもうないはずなのに薬の調合をすること一時間ほどすると、再び胃の不快感に襲われると気持ち悪さから敷いてある布団に横になった。
やはり体調不良なのだろうか?
それとも連日の食べ過ぎが祟ったのだろうか。
柔らかい布団の上に突っ伏せば、急に眠気に襲われて掛け布団をかけることもせずにうっかりそのまま寝てしまった。
目を覚ましたのは突然訪れた浮遊感を感じた時。
「…ん、…?」
「悪ぃ、起こしたか。つーか、お前寝るなら布団の中入れよ。」
「んー、ごめんー…。もう行くの?」
「おー、行ってくるわ。良い子に待ってろよ?」
「うん。早く帰ってきてね、…天元。」
「おまっ、そ、そんなクソ可愛いこと言うなよな?!」
夢現な中で宇髄さんの首に抱きついてみると触れるだけの口づけを落とされた。
「天元、あったかーい。」
「…ったく、ヤれねぇ時に限って甘えてくんなよなぁ。体調は?」
「あー…気持ち悪い…。」
「は?おいおい、吐くか?」
「いや、今度は吐くほどではないけど…寝とく…。」
宇髄さんは心配そうな顔をして優しく布団に入れてくれると、頭を撫でて直ぐに行ってしまったけど、気持ち悪さから私もすぐに再び微睡へと落ちて行った。