第23章 早とちりも程々に※
結局、嘔吐してしまって部屋に戻ると宇髄さんが抱きしめて寝てくれた。
何度も熱がないか確認してくれる彼の優しさに若干申し訳ないが、吐いたことでスッキリした彼と共に昼ごろまで寝ると私は翌日モリモリと昼食を食べている。
「お、おい…そんなに食って大丈夫かよ?」
「えー?何で?もう大丈夫だよ?」
「ほの花さん、昨日夕飯食べてないからお腹空いたんですよね?ふふ。」
「は?食ってない?やっぱり体調悪かったんじゃねぇか。大丈夫か?もうやめとけって…。」
「だーいじょうぶ!雛鶴さんおかわりー!」
昨日は甘味食べすぎて気持ち悪くなっていたが、夕飯を食べずに寝てしまえば朝起きた時の空腹度合いは相当のものだ。
しかも、ここ最近毎日大量に食べていたのだから胃も大きくなっているようで、バクバク食べ進めてしまう。
心配そうに横で私の様子を見ている宇髄さんを横目に三杯のごはんを平らげると、既に食べ終わっていた宇髄さんの分の食器も併せて持って立ち上がった。
最近では食事の支度は三人の元奥様達に専ら甘えていて、そのかわり片づけは私の仕事。
…なのだが、席を立った私の後をついてくる宇髄さんにチラチラと視線を向ける。
「…な、なに?吐いたりしないよー?」
「…本当に体調大丈夫かよ?ちょっと微熱あるんじゃねぇの?片付け、俺がやってやろうか?」
「えーー?ないって!大丈夫!宇髄さん、心配しすぎだよー!」
心配性なのは有難いが、こんなに心配ばかりして疲れないのだろうか。朝起きたてに嘔吐してしまったことで心配をかけてしまったのだとは思うが、今はスッキリしているし、特に問題ない。
しかし、嘔吐するくらいだから体の調子が本調子でないのは私よりも宇髄さんのが理解していたようで片付けをすると、自分の部屋に引き摺られていく。
「えー?寝ないよ?私!今から鍛錬するの!しないと今度は太っちゃうじゃん。」
「うるせぇな。念のため熱計れ。」
部屋に入ると手慣れた様子で薬箱から体温計を出すと渡される。
此処まで来ると宇髄さんは納得するまでやめてくれないし、熱計るくらいでこの心配性が一旦落ち着くなら…と思い、それを受け取ると脇に挟んだ。