第23章 早とちりも程々に※
もちろんその日の夜は何も食べられなくて、雛鶴さんに謝って、早めにお風呂に入って休ませてもらうことにした。
胃薬を飲もうか迷ったが、自分の薬の苦さに吐いてしまうかもしれないと思いやめた。
どうせ消化したら良くなる筈だとタカを括っていたのだ。
宇髄さんが帰ってくるのは明け方だと言っていた。鬼狩りから帰ってくると若干の興奮状態なのか高確率で寝込み襲われるので、早めに休んで損はない。
宇髄さんとスるのが嫌なわけじゃないし、むしろ求めてくれるのは嬉しい。
ただ彼との情交は体力勝負なところがあって、終わっても平気そうな顔をしている宇髄さんと違って私はいつもヘロヘロ。
ドロドロに蕩けさせられて、腰砕けにされてしまえば、そのまま夢の世界へ誘われる。
そんな激しい情交であっても彼であれば受け入れてしまうのが惚れた弱みだ。
念入りに体を洗うと香油を付けて、夜着に着替えると布団に横になった。
こみ上げる気持ち悪さはあるけど、宇髄さんが帰ってくるという嬉しさを胸に眠りについた。
──時刻は午前五時
体を弄られる感覚に目を開けると夜着が肌蹴てまろび出た胸が大好きな手に包まれていた。
ぐにゅぐにゅと乳房の形が変わるほど揉みしだかれると後ろから頸に口づけをされる。
まだ微睡に身を委ねていて、寝ぼけ眼のままだが匂いで宇髄さんだと分かるので声をかけた。
「…おかえり、天元。」
「ん、ただいま。ほの花、ヤリてぇ。いい?」
「うん…。」
やっぱりそうなると思ったので、彼を受け入れようと振り向いた瞬間、胃のムカムカを思い出させられた。
体の向きを変えると途端にこみ上げるそれに口づけをされる直前に彼の口を手で塞いでしまった。
「むぐ、っ、な、何だよ。」
「ご、ごめ、ちょっ、と気持ち悪い…。」
「は?!お、おい…大丈夫か?吐きそうか?」
「…う、ん、…吐きそう…。」
慌てて抱き上げて厠に連れて行ってくれた宇髄さんに申し訳ない気分でいっぱいになるが、こみ上げた気持ち悪さを我慢できずにそのまま吐き戻してしまった。
このまま彼の胸の中で吐いてしまったのならば出会った時と全く同じ状況になるところだった。