第23章 早とちりも程々に※
「…おっせぇ。」
「宇髄様、家の中で待ったらいいんじゃないですか?」
「阿呆か!ンな悠長なこと言ってられっか!俺のほの花が誰かに襲われてたらどうすんだよ!!」
甘露寺と出かけてくると言ったので、快く送り出したのは既に五時間ほど前の話だ。
門限は7時だ。そしてもうすぐ7時。
今までであれば、出かけると言ってもこんなギリギリに帰ってくることはない。
それがもう七時…っつーか、もう七時になった。
「アイツ…、門限破りとはいい度胸だ…。」
「…あの、ほの花様、二十歳ですけど…?」
「ンなこたァ、分かってんだよ!二十歳だから門限作ってンだろうが!成人したあんなクソ可愛い女が夜な夜な歩いてたら声かけられるに決まってんだろ!!」
あまりに苛々しながら玄関前でほの花を待っている俺に正宗達が恐らく暴走しないように共にいてくれる。
あの三人の差し金だろうが、ンなことは今はいい。
暴走しようとしまいが、ほの花はまだ帰ってこないのだから、今から探しにいくしかないと決めた瞬間、聴き慣れた足音が聴こえてきた。
振り返れば、家二軒分離れた位置にほの花が見えたので、安堵の息を吐く。
その位置からでも俺たちが玄関前にいることが分かったのか小走りでこちらに向かってきた。
「あれー?宇髄さんたち、どうしたの?」
「…ほの花、いま何時だ?」
「え?時計持ってないからわかんない。」
「そうか。よし、お前に時計を買ってやろう。いま七時五分だ。」
「時計?別にいらないよー?正宗達までどうしたの?」
まだ此処に俺たちがいる意味が分かっていないのか首を傾げて見上げてくるほの花の破壊力…いや。いまはコイツの外見に爆破されてる場合じゃない。
「お前の門限は?」
「え?七時でしょ?」
「今は?」
「…え?いま、宇髄さんが七時…?って言ってたよね?」
「七時五分だろうがああああっ!!おせぇーんだよ!馬鹿かぁああああっ!!」
「ひょえっ…!?」
"ひょえっ"じゃねぇ。この様子じゃ五分の遅れくらい大したことないと思っているのだろうが、俺はそんな甘くない。
ほの花に関しては超が付くほど過保護だと言って差し支えないからだ。