第4章 実力試験は実戦で
座卓の上には先ほどまではなかったアオイさんと言う方が運んできてくれた煎茶と美味しそうな大福が乗ったお盆。
「どうぞ、召し上がってください」と言われたので湯呑みを手に取るとズズッとお茶を飲むと漸くほっと一息吐く。
「今日はお館様のところへ?」
しのぶさんが私が持っていた大荷物に目を移すとそう聞いてきた。こんな大荷物を持って町を彷徨いているのは家出娘と思われても致し方ないが、しのぶさんは私が薬師の娘だとあの時に知っているので簡単に察しがついたのだろう。
「はい。薬の調合をした帰りです。ちょうど甘味でも食べて帰ろうと思っていたのでしのぶさんが声をかけてくれて一緒にお茶ができて嬉しいです。ありがとうございます!」
大きな大福を手に取るとはむっとかぶりつく。
柔らかいお餅に甘さ控えめの粒あんがいい塩梅でいくらでも食べられそうだ。
「んー!美味しいですーー!」
「それは良かったです。甘露寺さんにもお礼を言わなければ。」
甘露寺さんと言う方も確か柱の方だ。
桃色の髪をした綺麗な女性。
先程入ってきたアオイさんという方も可愛らしかったし、鬼殺隊は顔面接でもあるのだろうか。
揃いも揃って皆美形揃いだ。
「私、ほの花さんと薬についてお話したかったんですよ。」
「薬…ですか?」
「はい。私は鬼殺隊員が負傷した際に治療もしたりするので神楽家はどんな調合をしていたのか物凄く興味があるんです。」
え?ええ?!この方、柱なのに薬学にも長けているの?むしろこの方がいるならば私なんて必要ないのでは…?
「以前からお館様はご自身のお薬は神楽家から処方したものしか服用されませんでした。一体どのような効力があるのかずっと気になっていたんですよ。」
しのぶさんがズイッと身を乗り出して目を輝かせるので私は青い顔をしていることだろう。
薬のことは正直、母に仕込まれてはいるが恐らく母に遠く及ばない。
よって…しのぶさんと語れるだけの知識があるわけがないと頭が真っ白になったのだ。