第23章 早とちりも程々に※
【本日の戦績】
・豆大福 80個
・みたらし団子 50本
・桜餅 70個
・あんみつ 25杯
・草もち 30個
・草団子(餡子乗せ) 40本
「……君たち、うちの店の食べ放題の宣伝してくれてありがとう。」
そう。あまりに食べる私と蜜璃ちゃんを見て、通行人までもが窓から覗く始末で、結局私たちのせいでお店の甘味は全て底をついたらしい。
「次来る時はもっと余分に仕込んでおくよ。だから次も来てくれよ。」
「わぁっ!ありがとうございます〜!ご馳走様でしたぁ!」
蜜璃ちゃんは満腹になったようで涼しい顔をしているが、私はと言うと……
「…食べすぎた…。完全に。」
昼食もたくさん食べると決めた以上、ごはんは山盛り二杯を食べてきていたので、そこからの甘味食べ放題に胃がはち切れそうだ。
何なら暫くごはんはいらない。
「あはは!たくさん食べれて嬉しかったわ!ほの花ちゃん、また一緒に行こうね!」
「うん…、また行こうね。」
一緒に甘味が食べられるのは嬉しいし、蜜璃ちゃんとならば楽しいと思う。それでも今の私は食べ物のことは考えたくない状況で、苦笑いを向けるのに精一杯だ。
しかも時刻は午後四時前。もうあと三時間ほどしたら夕飯の時間ではないか。宇髄さんの手前、食べないわけにもいかず、私は込み上げてくる胃もたれに頭を抱えた。
お店の前で蜜璃ちゃんと別れて、トボトボと屋敷までの道のりを歩くが、体が重い。
いや、お腹が重い。
まるで妊婦さんにでもなったかのように重い。
本物の妊婦さんが見たらそれくらいで…と思われそうだが、気分的にはそれほどお腹が重いのだ。
このまま帰ってしまうと部屋で横になって休んでしまいそうだ。
横になったら最後。恐らく大した消化もできずに胃薬を夕飯にして眠る羽目になってしまうだろう。そうしたら何のために食べ放題にまで行ったのか分からなくなってしまう。
夕飯だけは絶対食べないと、宇髄さんにも怪しまれる。仕方なく私は踵を返し、回り道をして余分に歩いて帰ることにした。
走ってしまえば食べたものが全て出てしまいそうだったからゆっくり歩きながら胃の内容物が消化していくのを待った。