第23章 早とちりも程々に※
そりゃ知れ渡ってるよね。しのぶさんにも不死川さんにもあれだけ迷惑かけたんだもん。
柱なら知ってる人も多いはずだ。
しかも、産屋敷様にもご迷惑をかけた。
今度全員に菓子折りを持って謝りに行かなければと思っていたところだった。
予想していたとは言え、蜜璃ちゃんも宇髄さんとのことを知っているわけだから誤魔化すのは得策ではない。
「あはは…、うん。実は少しだけお別れしちゃってたの。」
「え?!け、喧嘩じゃなくて?!」
「あー……うーん。でも、周りの人はただの喧嘩って言ってるかも。当事者達の間ではお別れしてたっていう認識だけど…。」
「そうなの…?で、でも、元に戻ったのよね?!もう宇髄さんと"らぶらぶ"なのよね?!」
何故か泣きそうな顔をしてそう言ってくる蜜璃ちゃんに大きく頷いて見せるとホッとしたように微笑んでくれる。
「良かったわぁっ!宇髄さんにはほの花ちゃんしかいない!って伊黒さんとも話してたのよ。すぐに仲直りするって思ってたけど、痩せちゃった原因って…その、…それよね?しのぶちゃんも心配してたもの。」
「伊黒さんにもご心配かけて申し訳ないなぁ。お騒がせしましたって伝えてね。しのぶさんにも本当にご迷惑かけてしまって…。」
「宇髄さんが頻繁に蝶屋敷にほの花ちゃんを連れてきていた時もひょっとしてお別れしてたのかしら?とてもそうは見えなかったけど…。」
まきをさんと同じようなことをいう蜜璃ちゃんに苦笑いをする。よく考えたら確かに三日に一度蝶屋敷に連れて行くくらいならそこで入院させれば良かったのに、宇髄さんは絶対に連れて帰ってきてくれて屋敷で看病をしてくれた。
面倒だし、忙しい合間を見て、必ずどれくらい食べられたか聞いてくれて、蝶屋敷にも連れてきてくれた。
点滴をしてる間もずっと待っていてくれていたのもよくよく考えたら物凄く愛を感じる。
それなのに何故彼のついた「好きなやつができた」なんていう嘘が見破れなかったのか。
こんなにも愛してもらっていたのに。
接し方は継子に対する態度だったけど、彼の一挙一動は常に優しくて、いま思えば愛に溢れていたのに。
時間が経って冷静に見てみれば、自分のことばかりでどれほど周りを見る余裕がなかったのか思い知らされる。