第23章 早とちりも程々に※
翌日、蜜璃ちゃんとふたば屋さんの前で待ち合わせをしていたので、たくさん食べれるように着物ではなく、ちょうど緩めの隊服を着て向かった。
柱の仕事もあって、忙しいのに付き合ってくれてありがたい。
「あ、ほの花ちゃーん!!」
「蜜璃ちゃん!ごめんね、待たせちゃった?」
「そんなことないわ!さ、入りましょう!」
中に入ると、よく来る私はご主人が顔を覚えてくれていてすぐに席に通してくれる。
「あれ?今日はコレと一緒じゃないんだね、ほの花ちゃん。」
指を立てて"恋人"である宇髄さんのことを言っているのだろうけど、未だに他人から恋人だと言われると恥ずかしくて目を逸らしたくなってしまう。
「や、やだぁ!今日はお友達と一緒です!」
「こんにちはぁ〜。ほの花ちゃん常連さんなのね!フフッ。」
「そうかい、じゃあ旦那に宜しくね。空いてる席に座って、制限時間は一時間半だからね、鱈腹食っていってよ。」
「だ…っ?!?!」
旦那って…!?
旦那じゃない!!…が、周りから見るとそう見えるのであれば…少し嬉しかった。
志半ばで、彼との未来を想像するにはまだ早いと言い聞かせているところだから、実際にはまだいつになるか分からない未来の話。
それでもこうやって周りが"旦那扱い"してくれると、その時だけでもそう言う気分になれるのは擬似結婚をしているようで嬉しかった。
「あら、ほの花ちゃんと宇髄さんってもう結婚したの?」
「し、し、し、してない!してないよ!ご主人が勘違いしてるだけ…!私は宇髄さんの継子で…恋人だよ…!」
何故か取り繕うようにそう言ってしまったけど、蜜璃ちゃんはニコニコと笑ったまま「じゃあ、結婚する時はたくさんお祝いするわね!」と言って、お品書きを見始めた。
そんな彼女を見て、自分もお品書きを見ると二人で目を合わせて、コクンと頷く。
取り敢えずは時間内で鱈腹食べるという二人の共通認識の下、私は店員さんを呼んで注文を始めた。
支払った金額の元は取れると思うが、とにかく今回は太ることと巨乳になることが目標。
なるべく身になりそうなものをたくさん食べよう。
私の頭の中はそのことでいっぱいで完全に後先考えていなかった。