第23章 早とちりも程々に※
昼食だと呼びに来た須磨さんに引き摺られるように居間に来ると、いつもの定位置に座る。
隣には愛おしい人がいて、部屋の中には大好きな人たちがたくさんいるこの環境が戻ってきた喜びを噛み締める。
しかし、よくよく見れば気づくことがある。
(……三人ともめちゃくちゃ巨乳…。)
そう、宇髄さんの元奥様たちは美人なのは元より、その体型は女性らしくて、男性が悦びそうな柔らかそうな肢体。
それに引き換え、今の自分ときたら…、恨めしそうに自分の体を見つめれば、モスリンに隠れたそこはかろうじて谷間はあるが、痩せたことで鎖骨が浮き出ていて全然綺麗じゃない。
(…というか、よくこの体を抱こうと思うな…、この人…。)
隣で味噌汁を啜っている宇髄さんをチラッとみればキョトンとした顔で「何だよ」と返されるので、首を振ると自分のご飯に向き合う。
兎にも角にもごはんを食べよう。
いまはお陰様ですっかり食欲は戻ったのだが、宇髄さんも言っていたが、鍛錬も始めているので普通に食べていたら消化してしまう。
(…二倍食べないと太れない…。)
せめて触っていて気持ちいいと思えるくらいには戻したい。そしてあわよくばあのお乳に…!!
目標は高く持て!だ。
目指せは巨乳だ。
よく考えたら蜜璃ちゃんも溢れんばかりの巨乳だし、しのぶさんだって身長は小さいけど女性らしい体つきをしている。
今更後悔しても仕方ないが、食欲不振の弊害がこんなところに出るとは思わなかった。
私だって宇髄さんが好きだし、今は私のことを抱いてくれるがひょっとしたらこの先、色気のなさに愛想を尽かすかもしれない。
少しでも色気を感じてもらいたいし、抱きたいと思ってもらえるような体型でいたい。
「…がんばろ。」
「?何をだよ。」
「ごはんたくさん食べよって思って。」
「そりゃいい心掛けだな。食え食え!」
私の頑張る理由など知りもしないと思うが、幸いなことに宇髄さんはたくさん食べることには賛成してくれているようだからこの機会に健康的に太ろうと心に決めた。
「…この後、豆大福50個くらい食べようかな…。」
「おい、飯を食え、飯を。そして食い過ぎだわ、甘味ばっかよ。」
そうは言われても甘味だったら永遠に食ってるっていつだったかアヤメちゃんに言っていたくせにどの口が言うのだろうか。