第23章 早とちりも程々に※
宇髄さんと元の関係に戻ったことで、此処での生活も落ち着きを取り戻していた。
彼の任務があれば、朝方から抱かれるのはいつものことになりつつあるし、寝ぼけ眼で受け入れる快感も彼ならば幸せだと感じられる。
しかしながら、私には目下の悩みがあった。
それは…
「…うーん、やっぱりちょっと大きいよなぁ…。」
いま、私は鏡を見ながら自分の隊服を確認している。ずっと気にならなかったのは宇髄さんとの関係の件で思い悩んでいたせいで、それが解決してしまうと別の悩みが出てくるものだ。
彼と元の関係に戻る前に、私は極度の栄養失調になってしまったのは記憶に新しいが、点滴と食事療法でだいぶ体重は体調が回復する程度には増えていて安心していた。
宇髄さんも目方が増えたと言って喜んでくれていて、その時は"太った"ことに若干の嫌悪感を感じていたが、よくよく自分の体を鏡で見てみたら隊服が前よりも大きくなっていることに気づいたのだ。
隊服は同じものを着ているのだから大きく感じるのは自分が痩せたせいだ。
この時、初めて気付いたがスカートの腰回りは随分とスカスカで強く引っ張られたら脱げそうだし、胸元はモスリンがついているとは言え、随分と貧相になった気がする。
というか、こんな体で宇髄さんに抱かれていたかと思うと急に恥ずかしくなった。
(…やばい、太らないと…。)
しかしながら、暫くはこの隊服を着なけれはまだならないのだからどうしたもんかと鏡でにらめっこをしていると、いつの間にか起きていた宇髄さんに声をかけられた。
彼の気配の消し方は本当にすごいと思うけど、恋人にまでしなくていいのに…と、いつも思う。
鏡の前でああでもないこうでもないと唸っていたのを見られていたようで、立ち上がって抱きしめてくれる彼に思い切って聞いてみることにした。
「…あの、私…抱き心地悪い…?」
「………は?」
その時の彼の顔があまりに驚いているようだったので、少なくとも貧相な体だとは思われていないと感じてホッとした。
それでも明らかに隊服は大きいのだから自分はするべきことは一つ。
体重増加のみだ。