第23章 早とちりも程々に※
ほの花と元鞘に戻り、数日経った。
あれから関係は頗る良好で、毎日飽きずに彼女を抱きまくっている。
昨日は任務があったので朝方に帰ってくるといつものようにほの花の部屋に入り、彼女の布団に当然のように入りこむ。
以前にも増してほの花が可愛くて仕方ないし、共に過ごせる時間が尊いと感じられるようになったのであの別離期間はあってよかったのかもしれないと思いかけていた。
任務後は大体程よい気持ちの昂ぶりもあり、布団に入れば彼女の匂いに興奮して体を弄って起こしてしまうこともしばしば。
しかし、そんな俺のことも寝ぼけ眼で受け入れてくれるほの花に嬉しくてついつい甘えてしまうのだ。
今日も朝方にほの花を寝込み襲って気持ち良く眠りについたら昼頃にスッキリと起きたのだが、部屋の中にいた彼女が鏡を見ながら唸っていた。
「…んー…、やっぱ詰めた方がいいかな…。」
「何が?」
「うわぁっ!う、宇髄さん、おはようっ!ビックリしたぁ…。」
「…二人きりなんだけど?」
「…あ、…と、天元、おはよう…。」
あれから何とか二人きりの時は名前で呼んでくれるようになりつつあるが、鬼殺隊である以上、外で"宇髄さん"と呼びたいから…と名前呼びに慣れたくないらしいほの花はなかなか呼んでくれない。
それでも諦めずにこうやって誘導してやれば呼んでくれるのでこれはこれで良い。
呼ばれなかった頃に比べたら嬉しくてたまらないなだから。
「おはよ。で?どうしたんだよ。鏡とにらめっこしてよ。可愛くて見惚れてたのか?」
「そんなわけないでしょ?えっと…、うーん…。」
鏡を見て唸っている理由はどうやらあまり言いたくない内容なのか渋るほの花。
見兼ねて立ち上がって彼女の後ろに立つとそのまま抱きしめてやった。
「何だよ、どうした?」
どんな内容であれ、力になりたいのは惚れた弱みだ。そんな俺の様子を見て鏡越しに目を合わせたほの花が体を反転させると恥ずかしそうに話し出した。
「…あの、私…抱き心地悪い…?」
「………は?」
それは全くと言って良いほど予想していなかった内容で思わず聞き返してしまった。
だってそうだろ?
今し方まで抱いていた男にいう言葉だろうか。