第4章 実力試験は実戦で
産屋敷様の家からの帰り道、町まで戻ってくると思った通り治癒能力の反動の体のだるさは回復していた。
あれくらいの使用では大したことはないのだろう。それが分かっただけでも収穫があったと言える。
まだ陽が高くて帰るのがもったいなく感じたため、久しぶりに甘味処でも行ってみようかと方向転換をするとツンツンと誰かに背中を突かれた。
「こんにちは。ほの花さん。」
小鳥の囀りのような綺麗な声の持ち主は先月の柱合会議で声をかけてくれた女性の方だった。
確か名前は…
「え、と…胡蝶さん…?」
「はい。合ってます。歳も近いのでしのぶでいいですよ。」
「あ、ありがとうございます…!しのぶさん。」
私より遥かに小さくて女の子らしい可愛さが魅力的なしのぶさんは小動物みたいで愛らしい。
この身長は憧れる…。ほとんどの男性を見上げることのできるその身長は私の永遠の憧れでもある。
「ふふ。急にお声かけしてごめんなさいね?もし良ければ少しお話しないかと思いまして…。」
「わ、私と…ですか?」
「はい。あ…宇髄さんの許可がいるようなら艶に伝達に行かせますよ?」
にこりと笑ったしのぶさんが手を上げるとすぐに飛んできた鴉がこちらを見た。
そっか…。鬼殺隊の人はみんな鴉がいるんだ。
宇髄さんの虹丸くんしか見たことなかったから他の人の鴉を見て少し羨ましくなった。
鴉が居れば宇髄さんにすぐに連絡が取れるのか…。毎日会ってるわけだから連絡を取ることなど殆どない。
それなのに宇髄さんとの連絡方法があることを羨ましく思うのは何故だろうか。
「ほの花さん?」
鴉を見たままぼーっとしてしまった私にしのぶさんが再び声をかけ、手のひらを振ってみせてくれたことで覚醒すると宇髄さんに伝言をお願いすることにした。
また心配させて、今度はしのぶさんの家に乗り込んできたら…そう考えただけで私は顔を引き攣らせる。