第22章 今の上官は風柱様です!※
不死川が稀血だと言うことは柱の中では周知の事実。
だが、ほの花の話を聞いて妙に納得した。
アイツのあの不思議な能力が一体何なのか?俺自身もずっと気になっていた。神楽家に女が生まれたのが100年ぶりだということもおかしな話だと思っていたので、その能力を継ぐのが女児だけでそれ故に女児を授かりにくいのだとすれば、何となく納得はできた。
それと同時にその能力が鬼にとっては毒で稀血になり得るのだということもまた然り。
そして…
最後にアイツが言いにくそうに言った言葉に激しい怒りの感情がまた胸を熱くした。
──あの鬼狩りの日、ほの花が助かった本当の理由は自分の稀血のおかげだということ。
それは簡単にあの日のことを思い出させる。
ほの花に触れやがったあの糞鬼。彼女に対する怒りなどもうあるわけがないが、あの鬼に対しては一生怒れる自信がある。
「あの日、宇髄さんからもらった花飾りを目に突き刺した後、すぐに首を斬ろうと思ったんだけどあの異空間の中で鬼門封じが通じなくて斬りきれなかった。そうこうしてる内に攻撃を受けて首に怪我をしたんだけど、攻撃されたのは私の筈なのに苦しみだしたのはあの鬼の方だった。」
「…稀血の威力っつーことか?」
「恐らく…?その時、初めて能力のことを信じられたの。最初は半信半疑だったけど、事実、鬼の治癒能力を下げて、血鬼術を破ることができた。すぐに言えなくてごめんなさい。自分のことなのに何だか怖くて…言えなかった。」
ずっとそれを一人で抱えていたのか。
怖くて怖くてたまらなかったのだろう。今もまだ少し手が震えている。
突然、いろんな生い立ちを聞かされて、更に稀血だったなんて聞かされたら受け入れるのに時間がかかるのは当たり前だ。
そんな時にそばにいてやらなかった自分をぶん殴ってやりたいが、時を元に戻すことはできない。
俺を想い、誠実に向き合うために話してくれたほの花に報いるためには
一生愛し続けることで許してもらいたい。