第22章 今の上官は風柱様です!※
でも、私はちゃんと宇髄さんに言わなければならないことがある。彼とちゃんと元に戻る前にそれだけは伝えておかなければならない。
心の準備をするためにお風呂あがりに私は屋根の上で夜空を眺めていた。
此処にきたばかりのときもこうやって空を眺めていたなぁ。あの時とは星座は移ろいで違う輝きを放っているけど、美しさは変わらない。
朝晩の寒さも和らいできたので、夜着一枚でも少しも寒くない。むしろお風呂あがりなので暑いくらいだ。寝転んでちょっとだけ裾をたくし上げて足をさらけ出してみると気持ちいい。
無意識に鼻歌を歌っていると、黒い影が下から飛び上がってきて「わぁああっ!」と声を上げて飛び起きた。
「俺はバケモンか。気緩みすぎだろ。襖の音で気づけよ。」
「…な、何だ。宇髄さんかぁ…。びっくりしたぁ…。」
「おおおおおーーい!!?お前、なんつー格好してんだよ!足をしまえ!!誰かに見られたらどうすんだ!」
来て早々に私の姿に苦言を呈する宇髄さんにキョトンとしてしまう。
今は夜だし、誰も見ていない。
見ているところで出してたら痴女だが、今はそんなわけでもない。
「…だってお風呂上がりで暑かったんですもん。」
ブツブツと文句を言いながらも言われた通りにたくし上げていた裾を直すと、宇髄さんに向き合った。
「これでいいですか?」
「暑いんなら部屋で涼めっつーの。外で俺の足を晒してんじゃねぇ。」
「…私の足です。」
「お前は俺の女だから、俺の足だろ。」
どんな理屈なのだ。宇髄さんの女であっても体は私のものだと言っても彼には伝わらないだろう。隣にドカっと座ると私の体を片手で持ち上げて自分の足の上に乗せられる。
「あわ、あわ、び、びっくりした、ぁ!」
「目方は戻ってきたみてぇで良かったな。」
「え?!太った?!」
「太るとかの問題じゃねぇんだわ!お前、意味わかんねぇくらい痩せたくせによ!」
「それはそうだけど…。太るのはちょっと女としては嬉しくないというか。」
宇髄さんの気持ちもわかるが、女としては目方が増えるより減ったと言われた方が嬉しいのは仕方がないと思う。
そんなこと言っても彼に看病されて治ったのだから今の発言は頂けなかったと思い直した。