第22章 今の上官は風柱様です!※
「そもそもほの花さんが帰ってきてからお二人って喧嘩してたんですか?知らなかったです。」
「「………。」」
まきをの言葉に俺は愕然とした。
甘味は食べてから帰ってきたが、雛鶴が茶を淹れてくれたので、その場に混ざるとまきをが突然そんなことを言ってきた。
何故気付かねぇ?!
だってほの花は俺に敬語使ってたし、必要以上に触れないようにしてたし、極め付けは口づけも情交もしてねぇ!もうすぐ一ヶ月になっちまう。
要するに百回くらいは抱き損ねてる。(計算おかしい)
それなのに周りには知られてもいないなんて驚きを通り越して悲しくなってきた。
「だって恋人でもない人に毎日甲斐甲斐しく食事を食べさせたり、三日に一度必ず蟲柱様のとこに連れて行ったりしますか?天元様、毎日毎日ほの花さんの様子見に行ってたじゃないですか。逆にあれで実は喧嘩してましたって言われたこっちが驚きなんですけど…?」
「…あ、あはは…、そ、そう言われたら、そうかもしれないですね…。」
「でしょー?!ほの花さん!蟲柱様のところ行く時だって抱き上げてましたよね?しかもとぉーーっても大事そうに。」
「…あー、あは、あはは…。」
もうやめとけ。
こっちが恥ずかしくなるわ。
確かにそう言われたら今、ほの花が同じ状況になっても変わらないことをするだろう。
変わったのは自分達の心だけ。
周りから見たら俺らは空回りしていたにすぎない。
「あー、苛つく。俺の一世一代、渾身の求婚で漸く手に入れたっつーのに。」
「天元様なんて毎日毎日飽きるほど求婚してるようなものじゃないですか。」
「うるせぇな!まきを!こっちは死活問題だったんだわ!おかげで一ヶ月弱もコイツを抱いてねぇ!死ぬかと思ったんだぞ?!」
「ちょ、う、宇髄さん!何言ってるんですかぁーー!!」
俺の怒りが爆発しかけたところでほの花が止めに入ってきたが、こちとらほの花の匂いを嗅ぐだけでも厭らしい気分になってしまうので逆効果だ。
そんな俺らを見て雛鶴が「じゃあ今日の夜はお祝いにお赤飯にしますね。」と場を収めてくれなければ、俺はすぐにでもほの花を部屋に連れ込むところだっただろう。