第22章 今の上官は風柱様です!※
「お前ら喜べ!ほの花が俺の女に戻ったからよ!」
甘味を買って帰り、居間で茶をしばいていた六人に堂々と宣言するが、大した驚きも喜びもなくキョトンとした顔をされた。
「それ甘味ですかぁー?!わぁーい!お土産ありがとうございますぅーー!」
それどころか須磨に土産の甘味を奪われるとそれを広げて盛り上がる奴らに顔を引き攣らせることしかできない。
いや、そこは「よかったですね!」と一言くらいあってもよくないか?
ほの花が此処に帰ってこない時は散々俺に罵詈雑言を浴びせたくせに。(主に元嫁達だが)
帰ってきたら帰ってきたでヤキモキしていたのは俺ら二人だけで、コイツらは当人達よりも先に元の生活に戻っていて特に気にもされていなかったのは知っていたが…。
せめて喜べ!!
隣にいるほの花はそんな奴らに笑顔を向けているだけで戦力外。
コイツはほわほわしてて、こう言う時は何の役にも立たない。
「ちょーーーっと待てぇ!?お前らなぁ、もっとこう…喜べよ!この家の主人の恋人が元鞘に収まったんだぞ?!」
「…んー、でも、天元様。どうせお二人は元に戻るって分かってましたから…。」
雛鶴がそう言いにくそうに言えば、大福を食いながら大きく頷いている五人。
どちらかといえば歓喜の顔というよりも呆れたような顔を向けられるので面白くない。
「はぁ?!こっちが必死こいてほの花を取り戻したっつーのに!!」
「う、宇髄さん、落ち着いて…?」
「落ち着いてられるか!俺はなぁ、それはもう必死に我慢して自分を律してお前を取り戻したんだ!もっと喜べっつーの!!」
暴れ出しそうな俺をほの花が止めてくれるがどうも反応がイマイチで苛ついてくる。
「…雛鶴さんの肩を持つつもりはありませんけど、こちらから見たらほの花様が帰ってからのお二人は別に今と大差ないですよ?それにどうせもうお互いじゃないと駄目なんですからこうなることは簡単に予測がつきますしねぇ。」
正宗にまでそんなことを言われてしまうと、周りから見た自分達がどれほど空回りしていたか分かる。
揶揄うようにニコニコとこちらを見ている六人に腹が立ってきたが、やはり日常は居心地がいいとも感じていた。