第22章 今の上官は風柱様です!※
漸く下半身が落ち着いたという宇髄さんが徐ろに買ってくれた髪飾りを私の髪に付けてくれた。
「あ、ありがとう…。まさか自分の物だと思わなかった…。買ってくれてありがとう。」
「そもそもこんな短期間にお前以外の好きな女ができるわけねぇだろうが。言ったろ?俺はもうお前以外に勃たねぇの。」
「わ、分かったから…!大きい声で変なこと言わないでよー。」
「何が変なことだ!事実だろうが!はぁ〜、性欲が満たされねぇから甘味でも食いに行くぞ。」
そう言って手を差し出されたので今度は自らその手を取る。
三大欲求の内の一つを別のもので補おうとする宇髄さんだけど、本当は私が甘味好きだから連れて行ってくれるつもりだったんでしょ?
さりげなく、そうした優しさをくれる宇髄さんに改めて気付くが、それも一度離れたから余計に感じたこと。
つらかったし、できればもう二度と経験したくない。でも、当たり前のことなんて無いんだと知ることができたことは自分の人生をより豊かにしてくれることだろう。
「…あんみつと豆大福食べよーっと。」
「しっかり食って体力つけとけよ。」
「…そうだね!任務がいつ来てもいいようにね!」
「ちげぇだろ?ヤるため…「任務だよね?!宇髄さん?」」
「ヤるため…「早く任務に行きたいなぁ!」」
「…うるせぇえええ!俺はド派手にほの花不足なんだわぁああっ!このままだと死ぬ!!お前は俺のこと殺す気なのか?!」
いい大人が駄々をこねる姿が可愛いと思えるのは好きな人くらいのもの。私だってそうだ。
甘味処を目指して隣を歩く宇髄さんが年上なのに何だか可愛く見えるのは本当に彼を愛しているからだ。
絶望しながら空を見上げた宇髄さんの歩みが遅くなったので、代わりに手を引っ張って進む。
「ほら、行こ?あんみつ食べたいなぁ?」
「…俺はお前が食べたい。」
「わ、わかったから…!夜にね?」
「約束は?約束の口づけを今してくれたら我慢するわ。」
そう言ってまた立ち止まり、少し屈んで目線を合わせてくる宇髄さん。準備は万端といった様子で仕舞いには目も閉じて待っている。
そんな彼を無碍にすることもできず、周りに人がいないか確認をすると触れるだけの口づけをしてすぐに顔を離した。