第22章 今の上官は風柱様です!※
「ぅ、えええーん、え、っく、ひっく…とまらなぁーーい…えーーーん!」
「泣きたいのはこっちだわ。此処は感動の口付けをするところだろうが!早く泣き止め!」
「そ、そんなこと言われても…!」
宇髄さんにそう苦言を呈されるが、こちらも涙を止めようにも嬉しさが込み上げてきて泣き止めない。やっとこの腕の中に戻ってこれたと言うのに随分色気のないことをしてしまってるのは分かっている。それでもそのまま待ってくれている宇髄さんだったけど、どうやら限界だったようだ。
「…あー、もう我慢できねー。無理。」
「…へ?ん、むーーっ!んん、っ!」
抱きしめてくれていた腕を離すと、熱い唇が久しぶりに降ってきて己のそれを捉えた。
近くに宇髄さんを感じれば、彼の匂いに幸せな気分になる。
一度口付けると、少し離して再びまたそれを押し付けられ、何度も何度も角度を変えて繰り返されるので外だと言うのに変な気分になりそうだった。
しかし、それは私だけでなく宇髄さんもだったようで暫く唇を堪能すると潔く体を離したかと思うと、再び抱きしめられて衝撃の一言を放った。
「…やべ、勃った。」
「………あ。」
抱きしめられているせいで自分の腹部に押し付けられる硬い物体の存在に気付かないほど馬鹿ではない。
だとしても此処は外だし、どうすることもできないので気の利いた解決法も思い浮かばずに苦笑いをする。
「…此処で一発…」
「しません。」
「お前のこと抱き締めてたら永遠に勃ってそうなんだけど、どうしたらいい?」
「し、知らないですよー!収めてください!」
「敬語使うなって言ってんだろ!ぶちこむぞ!」
「…強姦の台詞だよ、それ!」
「うるせぇ!帰ったら犯す!!!」
こう言うやりとりはいつぶりだろうか。思わず顔を見合わせると笑いが込み上げてきて、流れていた涙も漸く止まってきた。
"帰ったら抱き潰す"というあの日した約束は果たせていないままだったけど、近い内に果たされてしまうのかもしれないと安易に予想ができる。
それでも…後悔先に立たず。
あれほど後悔するくらいならもう二度と彼の元から去ったりしない。
もう後悔はしたくない。