第22章 今の上官は風柱様です!※
化粧をちゃんとして、綺麗な着物に袖を通してもう一度宇髄さんの部屋を訪れるが、大した賛辞も述べられないまま、「よし、行くか」と言われて、屋敷を出る。
「…お前さ、やっぱあんまり化粧しねぇ方がいいかもな。」
「え?変ですか?」
「変じゃねぇ!変じゃねぇけど…、まぁいいわ。今日は。」
屋敷を出た途端にそんなことを言われて、"めかしこめ"って言ってきたのは自分のくせに似合わないとでも言いたいのか微妙な顔をする宇髄さんに益々苛々は募る。
「はいはい。宇髄さんにとってはその想い人の方に叶う女はいませんよね。すみませんね。隣を歩いてるのが可愛くない継子で。」
「まぁ、アイツがクソ可愛いのは認める。お前も見たらビビるぜ?クソ可愛いから。」
「それは是非是非見てみたいですね。御紹介して下さいね。」
「苛めんなよ?大事な女なんだから。」
「…そこまで性格悪くありません。」
"苛めんなよ?"ですって?
苛めるわけないでしょうが!いくらなんでもそれくらいの物の分別はあるし、師匠の恋人に酷い扱いをすることなどあってはならないことだ。
むしろ何かあれば私が彼女を守るくらいの気持ちは持っていなければならない……
けど、最初は…
少しくらい悔しくなっちゃうかもしれないけどすぐに慣れるはず。
「それなら良いけどよ。アイツすげぇ優しい奴だからさ。傷つくのは見たくねぇの。」
「……分かってますよ。私もちゃんとお守りしますので。」
「お?お前も守ってくれんの?約束な?大事な女だから頼むわ。何かあったら俺に言うように言ってくれな?」
「はーい…。わかりましたぁー。」
投げやりな返事になってしまったけど仕方ないでしょ?
つい三週間前までは私が恋人だったんだから。
少しくらい元恋人の複雑な心境をわかって欲しいものだ。
男女差はあると思うが、私は今ものすごく悲しいし、悔しいし、苛ついているのだから。
想い人に非はないけど、羨ましいと感じることも仕方ないことだと分かって欲しい。