第3章 立ち振る舞いにご注意を
まぁ、何だ…。
あまりに顔を真っ赤にしているほの花が可愛くておちょくったために自分の首を絞めることになったのだから自分が悪い…とは思う。
しかし、あろうことか俺の胸で顔を強打したほの花はそのまま腹を滑り落ちて、股に顔を埋めている状態だ。
はっきり言う。
最悪だ。
ただでさえ己の理性と戦って勝利し続けていたこの按摩という名のお祝い。いや、いまこれは"修行"に変貌を遂げた。
下半身が反応しないようにあれほどまでに気を付けていたというのにいまの状況は"反応しろ"と言っているような状態だ。
"頼むぜ…"と懇願するように己を激励するとほの花に声をかけてみた。
「…おーい…。大丈夫、か?」
するとガバッと顔を上げたかと思うと座ったまま恐ろしい速さで後退りをしたほの花。
いや、そうなるわな。
だが、正直助かった。あのまま乗っかられたままだったら俺はコイツを押し倒していたかもしれない。
危なかった。そんな俺の邪な気持ちには気づいてもいないだろうほの花は自分の失態に酷く項垂れている。
しかし、今度は夜着が乱れきっていて、白い御御足が勝手にお披露目されてるわ、胸元もちょっとはだけているわ、据え膳くわぬは何とやら…の状態。
「…おーい、ほの花ちゃーん。流石に着物は直せ。お前一応、嫁入り前のオンナノコなんだぞ。」
「え?!あ!やだーー!ご、ごめ、なさ!は、恥ずかしいぃぃぃぃ…!」
慌てて夜着を直すと畳に顔を付けて恥ずかしさに耐えているほの花に笑いが込み上げる。
俺だって軽口で話しかけたのは自分の心の乱れを知られたくないからで、心境的にはほの花と大して変わらない。
「分かった分かった。何も見てねぇから。な?」
土下座するかのように頭を床につけたまま動かないほの花を宥めるのに必死で勿論その後、按摩の続きをやれだの言うことはできずに部屋に帰してやったが、次の日からほの花を見ると暫くアイツの肌を思い出して悶々としてしまうのだった。