第3章 立ち振る舞いにご注意を
「何だよ、どうした?」
こんな急にツンと突っつくような触り方をしたらそりゃあ宇髄さんとて何事かと思うはず。
だからって人間慌てふためくと自分でもわけのわからないことを口走ってしまうもので…。
「あ、ごめんなさい!こんな逞しい腕見たことないのでつい触れてみたくなってしまいました…!」
口からこぼれ落ちたのは、まるで自分が筋肉好きの変態だと言っているような言葉で瞬間的に白目を剥いた。
(何を言っているんだーーーーーー!!私の馬鹿!阿呆!変態!!)
「…ふーん?」
そういうと急に体を反転させて起き上がった宇髄さんはニヤニヤと私の顔を覗き込んだ。
「そーんな顔真っ赤にしちゃって可愛いなぁ?ほの花ちゃんはぁ〜。」
この顔は…絶対に馬鹿にしてる…!!
私が男性に免疫がないことを知ってて絶対おちょくってる顔だ…!
そう分かっているのにどうもこの美丈夫に顔を近づけられると真っ赤な顔は治まる気配もなく、沸騰しそうだ。
「…うー…、ば、馬鹿にしてます、よね…?」
「ん?いやいや、可愛いって言ってんだろ〜?信用ねぇなぁ。」
信用はしてるけど、そのにやけた顔の意味が分からないほど馬鹿ではない…はず。
よく見ると片腕だけを布団につけて寝転び私の髪をくるくると弄っていて男性なのに意味のわからない色気がダダ漏れで頭に血が上って倒れそうだ。
免疫がないのは自負しているが、いきなりこんな最強の色気大明神におちょくられてはたまらない。
「も、もーー!おちょくらないでください!!ほら、按摩!するんですから!うつ伏せに戻ってください!」
このままでは彼の色気に当てられて鼻血でも出しそうなので強制的にこの状況を終わらせるしかないと宇髄さんの胸を布団に押し込んだ。
「は?おい!ちょっと待てって…」
思いっきり彼の胸を押したは良いが私が押したくらいでびくともしないくらい強いのを忘れていたためにただつんのめって彼の胸に体ごと飛び込んでしまった。
そのせいで彼の硬い胸板に鼻を強打する羽目になり暫くそのまま痛みに耐えていると頭上から宇髄さんの声が聞こえた時、状況が更に悪化したことを呆気なく知ることになり、気を失いそうになった。