第22章 今の上官は風柱様です!※
──音の呼吸 肆ノ型 響斬無間
目の前のいる鬼を一気に掃討するとあたりに耳を澄ませて他に鬼がいないか確認をする。
自分からしたら雑魚ばかりではあるが、階級が低ければ一体倒すのも一苦労だったことだろう。
それが何十体も総攻撃をかけて来たのだ。恐怖で足が竦むのも致し方ない。
よく見れば皆、見た目は外傷が少なく見えても体が動かせないようだ。
(…毒か。こりゃ、解毒剤持って来てもらわねぇといけなさそうだな。)
早く救護してやりたいが、遠くの方で鬼の気配を感じる。今の攻撃から逃げたか、隠れていた別の鬼だろう。
そう遠くない。
先に鬼の殲滅だ。
此処にいたとしても自分では碌な救護はできない。
一番近くにいた隊士にまだ残っている鬼の殲滅に行く旨を伝えると俺は猛烈な速度でそちらに向かった。
「…こっちか。」
足を向けた瞬間、遠くの方で「うわぁああ!」という人の叫び声が聞こえて来た。
鬼が散らばっていたように、鬼殺隊も散らばっていたのか。
(くそっ…待ってろ…!)
しかしながら、いくら自分の足が速くても声の遠さからして間に合うかかなり微妙だったが、途中で足音が聞こえたかと思うと一体の鬼の気配が消えた。
悲鳴の持ち主の危機は脱したと思いきや、そこに向かってまたもや違う鬼の気配が向かって来ている。
(チッ、次から次へと…!)
一瞬、行くのをやめようか躊躇ったが、再びそちらに向かって走り出す。
この時、行くのをやめなくて心底良かったと自分で自分を褒めてやりたい。
怪我人を庇いながら戦闘態勢に入る女が見えたので先に鬼の首を叩っ斬ってやると驚いた表情をするその顔にこちらも目を見開いた。
「…ほの花?!」
久しぶりに見たほの花は相変わらず美しくて思わず見惚れてしまったが、再会を噛み締める時間などなく、怪我人の手当てを始めるほの花の隣に自分も座り込む。
何も出来やしないくせに少しでも近くでほの花の顔を見たいがために手伝うフリをして彼女の隣に陣取ると優しい花の香りが心地よくて任務中だと言うのに気が抜けそうになった。