第22章 今の上官は風柱様です!※
ほの花がいなくなっても当然のように任務はある。確かに信じられないほど頑丈な自分が風邪などひくものだから周りは驚いていたが、頑丈な分、治るのも早い。僅か半日で治すが、ほの花の元護衛の三人に引き止められて、一日静養すると、任務を再開させていた。
今までだったら帰るとほの花の寝顔を見るのが楽しみで仕方なかったと言うのに、今はそれがない。
帰ったところで愛する女の寝顔どころか温もりも感じられない無機質な家。
何の楽しみもない私生活に正直嫌気が差して来ていた。
何度か不死川の家を訪ねたが、まだ会わせられないと一点張りで顔を見ることもできずに一週間ほどが経とうとしていた。
喧嘩ならばまだいい。
どう仲直りしようかとこちらも思案することができるから。
しかし、今回はいわゆる別離。
許す許さないの問題ではなく、もう一度やり直したいと伝えないといけないのであって、困難を極めている。
元嫁達には「まだほの花さん帰ってこないんですか?」と涙目で責め立てられて、正宗達がいなければ、任務もままならなかっただろう。
そんな毎日を過ごす中、警備が終わり、帰る途中だった。
虹丸が近くで鬼殺隊が戦っているが全滅寸前だという伝言を受け取ったため、すぐに現場に急行した。
話を聞くと向かった医療班までもが被害に遭っていて怪我人が救護できずに共倒れ状態だと言う。鬼の殲滅も出来ていないようなので、とりあえず柱としての向かう旨を一番近くにいる柱に伝えるように虹丸に頼んだ。
しかし、自分だけでは鬼の殲滅はできても、怪我人の救護は早く医療班を追加で呼んでもらわなければどうしようもない。
現場は自分がいたところから割と近い上に、足は速いので10分足らずで到着ができたが、そこは怪我人で溢れかえっていて、辛うじて戦える隊士達が20体ほどの鬼と対峙していた。恐らく細胞を分裂して具現化させる血鬼術も使うのだろう。
俺はすぐに戦闘態勢に入るとその場にいた隊士に「よく頑張った、あとは任せろ!退避命令!!」と伝える。
「お、音柱様…!」
ホッとしたような顔をした隊士達を見ると間に合って良かったと自分も胸を撫で下ろす。