第22章 今の上官は風柱様です!※
近くで毒の血鬼術を使う鬼に鬼殺隊がやられていると言う。
柱が行ってくれているそうで、鬼の殲滅には問題ないが医療班も殆ど毒にやられてしまったらしく救護者がいないため、不死川さんが依頼してくれた。
本当はしのぶさんに頼むところを私に頼んでくれたのは物凄く光栄だし、身が引き締まる想いだった。
念のため武器を持ち、しのぶさんと相談して準備した解毒剤と一通りの応急処置の医療道具と薬を持つと、私は全速力で現場に向かった。
現場までは三十分ほどの距離で、食事の量が減ってることで多少の体力低下は否めないが、任務となれば話は別だ。人命救護には一分一秒が大事なのだから。
──不死川さんに言われた場所の近くまで来ると静けさに包まれていて、戦闘の音は聞こえない。
柱が来ているのだ。
大方の殲滅は済んでいるだろうが、柱が救出に向かうほどだから量が多かったのかもしれない。
念のため辺りに気を配りながら歩みを進めると「うわぁあっ!」と言う声が聞こえた。
言われた現場は此処から真っ直ぐの筈なのに聞こえたのは右方向。
(やっぱり残党がいるのかも…!)
薬箱を持ち直して武器を構えるとそこに居たのは一体の鬼。
まだこちらに気づいていない。しかし、気づいていないと言うことは大した鬼でもないと言うこと。
声の主は鬼殺隊士の筈だ…!どこ…?!
鬼のすぐ下を見ると足を怪我しているようでお尻をつけたまま後退りをする鬼殺隊士の姿を見つけた。
相手は格下の鬼だが、毒の血鬼術を使うと言う。
油断はできない。
しかし、今にも隊士に攻撃を仕掛けそうなその鬼の姿に迷わず陰陽道を発動した。
──陰陽道 式神 白虎
「お願い、急いで!!」
「承知!」
自分が走るよりはるかに早い白虎が鬼めがけて飛びつくと先に怪我をしている隊士に寄り添った。
「大丈夫ですか?!」
「あ、ああ、た、たすけ、て…。」
恐怖で錯乱状態のようでちゃんと目が合わない。
先に足の状態を見ると止血を早くした方が良さそうだが、白虎を出したままだと自分の体力が削られていくので長くは保たない。
仕方なく、白虎が足止めをしてくれてる鬼の首を先に斬ることにした。