第22章 今の上官は風柱様です!※
夜に自分の地区の鬼狩りを終えて、帰路に付いている時、鎹鴉の爽籟から近くで鬼狩りをしていた鬼殺隊士が苦戦を強いられていることを聞いた。
しかし、話によると別の柱が向かっているとのことだったので、救護の要請のため蝶屋敷に向かった。
話によれば毒の血鬼術を使う鬼が複数現れて、鬼殺隊士だけでなく、助けに行った医療班も軒並みやられてしまっている状況だと言う。
アイツが行ったんなら鬼の掃討は問題なく終わるだろうが、医療班までやられてるんなら早いところ応急処置ができる医療班を追加で向かわせるか救護ができる鬼殺隊士を向かわせる必要がある。
医療班が行っていては遅いかもしれない。アイツらは医療に特化している鬼殺隊員だから決して運動能力は高くない。
医療に長けている鬼殺隊士と聞かれて真っ先に思い浮かぶのは蟲柱・胡蝶しのぶ。
柱二人を投入するまでもないことだが、今回は鬼の殲滅と言うより人命救助の目的だ。
彼女が向かった方がより迅速に対応できるだろうと踏んでいた。
それを伝えるために蝶屋敷に向かい、寝ていた胡蝶を起こして、ことの次第を伝えるとたまたま話を聞いていた鬼殺隊士がいた。
「…あの、こんばんは…。」
夜着だと一瞬誰か分からなかったが、月明かりに照らされた彼女の美しさに息を呑んだ後、一回り小さくなったような気がして訝しげに見てしまう。
宇髄との一件のことでやつれてしまったのだろうかと思案していると、隣にいた胡蝶がにこやかに彼女に話しかける。
「あら、ほの花さん。また夜更かししてたんですか?早く寝ないと駄目ですよ。」
おいおい、夜更かしすんなよ。
そのせいでやつれてんじゃねぇだろうな。
「また…ってお前な。夜更かしなんてせずにとっとと寝ろォ……、……あー、そうか、ほの花か。」
話の途中だが、思い出すのは彼女は薬師。
そして柱としての任務と同じくらい自分の中で絶対に達成しなければいけない責務があったことを思い出す。
忘れていたわけではないが、どうやってその場を設けようかと考えあぐねていたこともあり、瞬間的に"この機を逃すな"と本能が言っていた。
俺は隣にいる胡蝶にそれを伝えるため、耳打ちをした。