第22章 今の上官は風柱様です!※
少量のお粥を何とか完食できるようになって、しのぶさんのところでお世話になり始めて数日が経った頃、夜中までつい薬の調合をしてしまい、厠に行こうと部屋を出たところ中庭で話し声が聞こえてきた。
「……さんが行ってくれたならとりあえず安心ですね。」
「あァ、だが、どうやら医療班まで殆ど毒にやられちまってるらしいから至急、お前のところから救護できる奴の応援を頼む。」
声からするにしのぶさんと不死川さん。
不死川さんはあれからよく顔を出してくれて事あるごとに「俺の継子になってもいいんだぜ?」と誘ってくれるが、丁重にお断りをしていた。
やはりどうしても宇髄さん以外の継子になろうとは思えないし、不死川さんはあの鬼狩りのことをずっと気にしてくれているから同情してくれているだけだ。
邪魔しないように素早く部屋に戻ろうと思ったのに、二人の話の内容が聞こえてしまい、踵を返して声をかけることにした。
「…あの、こんばんは…。」
「あら、ほの花さん。また夜更かししてたんですか?早く寝ないと駄目ですよ。」
柱ほどの実力の二人が近くに誰かがいるかどうかなんて分かりきっているのは当たり前で、突然声をかけても特に驚きもしないのは流石だ。
にこやかなしのぶさんと違い、こちらを見て呆れたような顔をして少しため息を吐く不死川さんの視線が痛い。
「また…ってお前な。夜更かしなんてせずにとっとと寝ろォ……、……あー、そうか、ほの花か。」
私の顔をまじまじと見つめると、隣にいたしのぶさんに何か耳打ちをしている。
変な格好だっただろうか?と身なりを確認するが、夜着ではあるが肌蹴ているわけでもない。髪型も整えたまま、寝転がってもいないので大丈夫のはず…。
耳打ちをされたしのぶさんが私の顔を見て「ええ、そうしましょう。」と可愛らしい声で言うと、私を手招きした。
それを見て慌てて駆け寄ると不死川さんが矢継ぎ早に言葉をかけてくれる。
「お前に頼みたい任務がある。この前みてェな不埒な任務じゃねぇから安心しろよ。」
私自身、必要ならば自分が行こうかと声をかけようかと思っていたのでその申し出を受けないなんて選択肢はない。