第22章 今の上官は風柱様です!※
「ほの花ちゃん、頑張って!あと少しだよ…!」
「うう…カナヲちゃん…。ありがとう…。」
"ありがとう"と言いながらできれば部屋に戻って欲しいと思ってしまう私は酷い女だ。
夕飯のお粥は昼よりも少しだけ減らしてくれているようで、残りはあと少し。
だが、見られていると食べにくいし、情けなくて見られたくないと言う羞恥心もあるため、なかなか進まない。
食事って楽しいもののはずなのに。
宇髄さんの屋敷での食事は本当に賑やか。
彼が一緒に食卓を囲める日は嬉しかったなぁ。
宇髄さんの隣に座るのはあそこに行ってからずっと変わらない私の定位置。さり気なくいつも腰を引き寄せてくれてそれが照れ臭いけど愛されてると感じていた。
(…たまにお尻を弄ってくるのは困ったけど。)
目の前には隆元とまきをさん。右隣には正宗と雛鶴さん。左隣には大進と須磨さん。
隆元とまきをさんはいつも身振り手振りで楽しそうに話してた。隆元は昔から話し上手で話題も豊富で一緒にいると楽しい存在だったから、まきをさんと楽しそうに会話していると嬉しかったなぁ。
大進と須磨さんは微笑ましかった。
須磨さんが本当に女の子らしくて可愛らしいけど、少しドジなところを優しく大進が助けてあげたりしてて、顔を真っ赤にして表情が崩れる瞬間が微笑ましい。
正宗と雛鶴さんはそんな二組を優しく見つめながら大人な会話をしている。
雛鶴さんは品があって綺麗だけど、ふと見せる可愛い笑顔が印象的。それを見て正宗が鼻の下を伸ばしてる(ようにみえてるほの花)のを何だかむず痒い。
兄達の恋愛模様を見るのがこんなにむず痒いものなのかと照れ臭い気持ちになりつつ、自分の隣にはいつも宇髄さんがいてくれて幸せだった。
「…ほの花ちゃん?」
「あ、ご、ごめん。食べる、食べる!」
思い出に浸っていたがために、すっかり箸が止まってしまった私は慌ててお粥に口をつけるが、時間が経ち過ぎてしまったそれは冷たくて嚥下すると胃まで冷えていくよう。
それでも何とかそれを食べ終えるとホッと一息ついたのだった。