第22章 今の上官は風柱様です!※
徐々に吐き気が止まってきたのを確認すると、立ち上がり産屋敷様の家へと向かうが、今度はお腹が痛くなって来た。
しかも…身に覚えのある痛み。
(…私、何か神様に嫌われるようなことした…?)
冷や汗が伝うその痛みは間違いなく、月のモノで。
鈍い痛みに顔を顰めると、慌てて痛み止めを飲むことにした。近くに水場などないので仕方なく唾液で溶かして飲むが…
「ぅええっ…にがっ…、に、にが……」
思わず二回言うほど苦いが、そのおかげなのか先ほどまで苦しんでいた吐き気は急に治まった。
気付け薬にでもなったのだろうか。
普段ならば苦すぎて極限まで我慢するほど、自分の薬を飲みたくない。他の市販の薬は割と飲みやすくしてあるが、これは即効性と体への負担を極力考慮してあるので飲みやすさは度外視。
しかし、今から産屋敷様の調合に向かわなければならないのに背に腹はかえられないのだ。
お腹を抱えながら小走りに向かうが、既に十分近くも遅れてしまっている。申し訳なくて仕方がない。
屋敷が見えて来ると速度を上げて走っていくと挨拶も早々に屋敷の中に飛び込んだ。
「こんにちはーー!遅くなりました!!」
慌てて入った産屋敷邸にはあまね様が待ち構えていて、突然現れた私を見て驚いた顔をしている。
「ほの花さん?よかった…。いらっしゃらないから主人と心配していたんですよ。」
「す、すみません…。途中でお腹が痛くなってしまって…。遅れた上に大変失礼なんですが…お手洗い借りてもいいでしょうか…。月のモノが来てしまって…。」
「あら、それは大変…!どうぞ、お入り下さい。」
あまね様が出迎えてくれるとわかっていたので言い出しやすかった。
此処で産屋敷様がお出迎えされたら流石の私も恥ずか死ぬというもの。
月のモノの腹痛で遅くなっただなんて。
もちろんそれだけではないが、先ほど無理やり飲んだ薬のせいで気持ち悪さはすっかり飛んでいき、現在体を蝕んでいるのは月経痛のそれだけ。
こうなってしまえば、それが終わるまで数日間は多かれ少なかれ腹痛と腰痛に悩まされるのは仕方ないことだし、痛み止めさえ飲めば和らぐことも知っているわけだから大した問題ではないのだ。