第22章 今の上官は風柱様です!※
「兎に角、今回の件は完全なる不死川さんの過失です。ほの花さんが気に病むことはありません。」
「…しのぶさん。」
「しかも、何故そんな人があなたの頬を抓る資格があるんです?意味がわかりません。」
随分とご立腹なしのぶさんに私は不死川さんの身の心配をし始めた。
まずいぞ…。
柱同士のことはよく分からないけど、不死川さんと宇髄さんの中では、不死川さんが殴られだことで事は済んでいるのかもしれないが。
一難去ってまた一難。
今度はしのぶさんまでご立腹だ。
「そ、それは…本当に私が悪くて…、自分なんて死んじゃえば良かった…って安易に言ってしまって。不死川さんが叱ってくれたんです…。私からしたら彼は命の恩人なんです。どうか…これ以上怒らないでください…!」
そう。あの時、彼に本気で叱られなければ私は過ちを犯していたかもしれない。
必死に紡いだ言葉にしのぶさんが呆れたようにこちらを見た。
「…確かにそれは…ほの花さんが悪いですね。そんなこと軽々しく口に出すものではありません。宇髄さんが可哀想ですよ。折角愛するあなたを助けたのに、死ねば良かったなんて言われたら悲しいですよ。」
「…もう、きっと私のことなんて愛していませんよ。でも…、確かに助けてくれた彼に失礼なことをしてしまいました。それに関しては本当に反省しています。」
しのぶさんは深くため息を吐くと天井を見上げて眉間に皺を寄せた。
「…此処に居てくれるのは全く構いません。私の手伝いもして下さいね。」
「は、はい!勿論です!」
「でも、あくまでも傷が癒えるまでの入院措置です。その後の身の振り方はあなた自身が決断して下さい。」
身の振り方…。
しのぶさんは厳しくも優しい視線を向けてくれている。
まるで母のように慈悲深いその視線は本当に暖かい。
「…宇髄さんのところに帰るにしろ、不死川さんのところに行くにしろ、勿論私の継子になってもらっても構いませんよ。カナヲと仲も良いですし。でも…よく考えて自分で決断して下さい。あなたは良くも悪くも人の言いなりです。自分がどこに行きたいのか…ちゃんと自分の心と向き合って下さい。」
諭すようなその言葉だけど、胸に突き刺さる。
痛いほどそれが頭の中にぐりぐりと侵入してきてまた掻き乱された。