第22章 今の上官は風柱様です!※
不死川さんから受けた任務のこと。
宇髄さんが様子を見に来てくれたこと。
その後、継子を解消することになったこと。
帰る家がなくなってしまったこと。
昨日は不死川さんが泊めてくれたこと。
そして、鬼との戦闘の際に思いがけず効力を知った稀血のこと。
「…稀血…ですか。やはりただならぬ能力だとは思っていましたが陰陽師の家系によるものだと言うならば納得です。」
「…はい。そのおかげで今回は命拾いしましたが、不死川さんからあまり他言しない方が良いと言われたので、しのぶさんだけにお伝えしました。」
「不死川さんが…と言うことは宇髄さんにはまだ伝えられてないと言うことですね。伝えようにも喧嘩別れしてしまって言えないってことですか。」
「…仰るとおりでございます。」
しのぶさんは"一"言えば"十"分かってくれるような賢い人だ。
私の拙い説明なのにちゃんと全部理解してくれたようでホッとした。
──が、…ホッとしたのも束の間、再び怒りの空気を感じて彼女を見るとニコニコしたまま、また怒っているようだった。
「…それにしても…不死川さんったらそんな破廉恥な任務にうちのカナヲを使おうと此処に来たなんて許せませんね…。ほの花さんでも許せないのに…。今回ばかりは宇髄さんのお気持ちも察します。」
「え、あ、い、いや!不死川さんは悪くないんです!私は全て知った上で任務に臨みました。なので…私の責任です。」
「そうだとしても柱ならもっと情報収集すべきです。安易に他の柱の継子を危険に晒すなんて許されません。」
柱が三人も揃えば三者三様の考え方がある。どの立場から見てもそれは正論で、不死川さんだって情報収集はしていたと思うし、その上で私に協力を申し出た。
それを理解した上で勝手について行ったのは私だ。
「…ほの花さん、宇髄さんがそれで怒るのは当然です。ただあなたに怒ったのは自分の感情を上手く処理できなかったからでしょう。本心ではないと思います。」
「…しのぶさん。宇髄さんの問題だけじゃないんです。私自身が一番…自分を許せないんです。彼の継子に相応しくありません。」
帰れないのは自分が許せないから。
宇髄さんを怒らせるようなことをした出来損ないの継子だから。